読書男子(Short story付)
大学の図書館の奥。 橘くんはいつも難しい本を読んでいる。 「今日は、なんの本?」 「これは息抜きに読んでるものです」 息抜きと言いつつ、洋書のそれは結構な厚みがあり、さすが頭がいいんだなぁと思う。 ここに来ると会えるから、つい来てしまうのだけど、真剣にページに視線を向ける彼を見ると、あたしは邪魔でしかなさそうだ。 「邪魔しないように、もう帰るね…?」 「貴女が邪魔だったことなんて、一度もないですけど」 こちらを見てそう言った橘くんに、胸がドキドキと高鳴った。
