人妻のお誘い
2年前に某大手企業の人と結婚した先輩と偶然出会い、そのまま彼女の家にお邪魔になる。 学生時代の思い出などを最初していたが、徐々に話題が先輩の新婚生活に。 旦那さんはしょっちゅう海外に出張へ行き、家を空けることが多いのだとか。 「だから、今レスで溜まってるのよね」 と彼女は苦笑する。 「ははは、俺でよければ相手になりましょうか?」 条件反射で、昔の可愛くない後輩の、元カレのノリでつい答えてしまう。 本当に冗談のつもりだった。 しかし 「今日、主人、いないんだよね」 こちらの顔を優しく微笑みながら見つめてくる。 柔和なその笑顔の中に、女の色気が混じっている。間違いなく、先輩は本気で誘っている。 彼女の左手に目を移すと、 手を出さないほうがいいぞ、と言わんばかりに薬指に煌めく指輪がある。 その視線を感じたのか、彼女はその指輪をすっと外し、テーブルの上に置いた。 これで、あなたと私を遮るものはない、そう言いたげに。 と同時に、お風呂が沸いたチャイムが聞こえてきた。
