甘い魔法
「わたあめください!」 ふと足を止めたのは、小さなわたあめ屋台。 年配の店主が機械を回しながら、ふわふわとした白い雲を作り上げていく。 その様子を食い入るように見つめる。 綿菓子が完成すると、店主がにっこり笑いながらそれを渡してくれた。 「はい、お嬢ちゃん。甘い魔法だよ。」 目を丸くしてそれを受け取る。 「魔法?」とつぶやきながら、一口かじる。 口の中に広がる、ふわりと溶ける甘さ。 「ほんとだ、魔法みたい。」 笑顔を浮かべながら歩き始める。 道中、わたあめを小さくちぎって口に運びながら、カラフルな提灯の明かりを眺める。 ふわふわとしたわたあめが次第に小さくなり、その甘さが心の奥まで染み込んでいく…
