甘えんぼなおうさま
カーテンの隙間から差し込む朝の光が、まだ半分夢の中の私を優しく包んでいた。 ──けれど、その温もりは光だけじゃない。 「……おはようございます」 耳元に触れる吐息と、胸元にぴたりと重なる柔らかな感触。 目を開ければ、すぐ目の前にアルトリアの翠の瞳。 その奥に、わずかな熱と、拭えない甘えの色が宿っていた。 「……まだ起きなくても、いいでしょう?」 そう言いながら、彼女の手が私の胸元をそっとなぞる。 薄い布越しに伝わる指先の熱が、ゆっくりと円を描くたび、息が詰まる。 「貴女の寝顔……ずっと見ていました。 触れたくて……たまらなかったのです」 困ったように笑うくせに、指はもう布の隙間へと潜り込み、素肌を優しく掬い取る。 私は抗議の言葉を探すが、その前に唇を塞がれた。 朝の柔らかな光と、シーツの擦れる音。 胸を包む温もりが、次第に甘い疼きへと変わっていく。 「……もう少し……このままで。 今日は、私が離したくないのです……」 その声は、騎士王ではなく、ひとりの女性としての切なさと欲を隠しきれない響きだった。 私は小さく息を呑み、そのまま彼女の腕の中に身を委ねた──。
