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エルフの疾走、ドワーフの溜息~ドライブは恋の始まり?~

2025年05月01日 16時10分
参加お題:

「グラン、車買ったんだって?」 朝日が差し込むギルドの一角、木漏れ日の下でエルフのラピスは耳をピンと立て、ドワーフのグランの肩をポンポンと叩いた。 「中古だけどな。別に自慢するほどのもんじゃない」 グランは油の匂いがする手でサンドイッチをつまむ。だがラピスは、そんなことはお構いなしに目を輝かせて身を乗り出した。 「明日冒険の仕事が休みだからドライブに行こうよ!車は冒険だよ、恋と一緒だな!」 「断る。お前と車に乗るのは命がいくつあっても足りねぇ」 「なんでだよ!せっかくの休みだよ?ドライブは友情の証だよ、恋と一緒だな!」 「台詞かぶってるぞ。てか、冗談、顔だけにしろよ」 「じゃあ、10円玉で車に傷つけるぞ!」 「やめてくれ!」 --- そして翌日、グランはしぶしぶラピスを助手席に乗せて走り出した。ラピスはウキウキして、窓から顔を出す勢いだ。 「まずはエルフの荒野を抜けよう!風が強いから髪がボサボサだけど、ドライブは自由だよ、恋と一緒だな!」 グランは溜息をつく。「お前、助手席で大人しくできないのか?危ないだろ」 「助手席は特等席だよ!見て、あの雲、わたあめみたいだね」 「食べられねぇよ」 二人の車は荒野を抜け、やがて海の見える道へと出た。潮風が車内に流れ込み、ラピスは目を細める。 「ねぇグラン、海って広いね。恋も広いよ、恋と一緒だな!」 「うるせぇっての。運転中に惚気るな」 「惚気てないよ!私はドライブに惚れてるだけ!」 「冗談、顔だけにしろよ」 --- 茶畑と富士山の見える道に差し掛かると、ラピスは感動してカメラを取り出した。 「ねぇ止めて!富士山が逃げちゃう!」 「富士山は逃げねぇよ。お前の脳みその方が逃げてる」 「グラン、写真撮って!茶畑が緑で、恋も緑だよ、恋と一緒だな!」 「お前の恋は雑草みたいだな」 「ドワーフ、冗談、顔だけにしろよ」 --- 夜になると、東京スカイツリーと東京タワーが車窓に浮かぶ。ラピスは窓を開けて、夜風に当たりながらため息をつく。 「ねぇグラン、夜景って星みたいだね。夢も光るよ、恋と一緒だな!」 「はいはい。眠いなら寝ろよ」 「ほんと?じゃあちょっとだけ……」 ラピスはそのままコクリと眠り込んだ。グランはしばらく無言で運転し、ラピスの寝顔を見て、ふっと苦笑した。 --- 家の前に着くと、グランはラピスを起こさず、そっと助手席のドアを開けた。ラピスはうっすら目を開けてぼそりとつぶやく。 「今日はありがと、グラン。……ドライブって、恋と一緒だな……」 「……ガソリン代、後で請求するからな」 「えぇ~!夢の中で払うから!」 闇夜に浮かぶ二つの影は、街のネオンに溶けていきます。星々のまたたきが、走り去る車の残像を優しく包み、車窓に映る遠い山並みは、まるで二人の心の距離を測るかのように静かに連なります。風は物語を運び、雲は思い出を抱き、夜の世界には無限の可能性が広がるのです。今宵、恋とドライブは、同じ星空の下、静かに交差していきます――。

コメント (2)

うろんうろん -uron uron-
2025年05月02日 00時39分
ガボドゲ
2025年05月01日 17時12分

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