夏のページは潮風とともに/スマホ壁紙アーカイブ
【夏のページは潮風とともに】 風がページをめくってしまうから、私はそっと手で押さえた。 けれど、めくれたそのページにふと好きな一節を見つけた。 オレンジジュースは少しぬるくなっていたけど、 この海の匂いの中では、それさえも特別な味がした。 麦わら帽子の下で目を閉じてみると、 波の音と遠くの笑い声が混ざって、 この時間が永遠に続くような気さえした。 たぶん明日になれば、今日のことは風のように流れているだろう。 でも、本のあいだに残った砂と風のにおいだけは、 きっと私の夏のどこかに残るんだと思う。
