雨の日のブランコ/スマホ壁紙アーカイブ
【雨の日のブランコ】 雨はもうほとんど止んでいた。 空から落ちてくるのは、名残のような水滴だけだ。 ブランコの座面にはまだ冷たさが残っていて、 そこに触れたら、きっと指先まで雨の記憶が染み込むだろう。 誰もいない公園は、不思議と寂しくない。 ただ、さっきまで確かにここにあったはずの時間が、 そっと抜け落ちているだけだ。 笑い声も、靴音も、呼び合う声も、 地面にできた水たまりの奥に沈んでいる。 風が吹くと、ブランコがわずかにきしんだ。 揺れようとして、思い出したようにやめる。 まるで「今日はもういい」と自分に言い聞かせているみたいだった。 水たまりには、逆さまの空とブランコが映っている。 現実よりも少し静かで、少し優しい世界。 この公園は、誰もいなくなったあとにだけ、 こんな顔を見せるのかもしれない。 やがて雲が流れ、地面は乾いていく。 それでもこの瞬間だけは、確かにここに残った。 雨の日のブランコは、何も語らずに、 今日という一日を静かに覚えている。
