線路の先の夏/スマホ壁紙アーカイブ
【線路の先の夏】 彼女が立っていたのは、もう誰も降りない小さな無人駅。 むき出しの床板、錆びたベンチ、そしてどこまでも続く線路。 列車は来ない。 けれど彼女は知っていた。 この線路の先には、誰にも知られていない「夏」があるかもって。 子供のころ一度だけ迷い込んだような、 眩しくて、優しくて、心がほどけるような夏。 風が帽子のつばをゆらし、 雲が空を滑っていくその先で、 彼女は微笑んだ。 それは、もう戻らない時間への旅立ちだった。 列車ではなく、記憶に乗って向かう、 あの夏の、続きを見に行く旅。
