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【ドクター】猛攻ウィルス攻撃!危険なドクドクター!(後編)
ドクドクターは今も全身から強い薔薇の臭いを持ったウィルスを撒き散らしている。まずはこれを止めないと! 「リリカル・アイシクルフォース!」 この間覚えたばっかりの氷魔法でドクドクターを凍らせる。これでもうウィルスは漏れ出てこないはず!後は周りを取り囲んでる感染しちゃった人たちを何とかしないと。 「ぬぅ・・・人数が多すぎる上に、手加減が難しい!」 このままじゃ、戦ってくれてるフィジカルが力尽きちゃう。けど私も氷魔法を維持しながらにじり寄って来る感染者さん達を撃退しなきゃいけなくて、手が回らない。ロジカルに至っては・・・。 「フハハハ、次が行くぞ我が花嫁!」 「クソが!だからその花嫁ってのやめろ!」 ドミサイルが小型のミサイルをどんどん召喚してこっちに撃って来るのを、必死にスマホ型端末を操作して魔力砲で迎撃してる。私たちは万一喰らっても魔法少女の力で防御力が上がってるからケガで済むけど、もし一発でも感染者さん達の誰かに当たったりしたら絶対に死なせちゃう。 「仕方ないわね、手を貸してあげるわ」 涼やかな声と共に、私に迫っていた感染者さんがばたっと気絶して倒れた。そこにいたのはクリティカルだ。 「クリティカル!来てくれたんだ!」 「今日は放っておいても収穫が薄そうだしね。それに手が足りないんでしょう?」 「おう、全然足りねェわ!クリティカル、とりあえずドミサイルはオレが相手しといてやるから周りの連中何とかしやがれ!」 で、でも大丈夫かな。クリティカルは強いけど、さすがに一人じゃこの人数相手は・・・。 「やれやれ、一人じゃキツそうね。・・・ブンシン・ジツ」 「ええっ、クリティカルが一瞬にして三人に増えた!?なにこの魔法!?」 「魔力で分身を作り出しただけよ。だから分身も私と変わらない戦闘力を持ってるわ。実質効率三倍って訳」 言うが早いか、三人のクリティカルは周りの人たちを手刀で気絶させ始めた。目にも留まらないスピードで次々倒していくから、あっという間に感染者さん達は全員ノックアウトされちゃった。 「ほら、今の内にそのガラクタ人形を何とかしなさい!」 「で、でも倒したら爆発してウィルスが・・・」 「ワレに任せろ!」 フィジカルが氷漬けのドクドクターを引っ掴んで、全力で上空まで投げ飛ばした。ドクドクターは見る見るうちに豆粒みたいに小さくなって・・・見えなくなっちゃった。 「地球の重力圏を脱したようだな。もう帰ってくることはあるまい」 フィジカルはへたり込むと、変身が解けて朝霞ちゃんに戻った。 「ほう、あの状況を脱したか。やるではないかマジカヨ達よ!」 「強がってんじゃねェ!後はテメェ一人だぞドミサイル!」 ドミサイルはミサイル攻撃を止めて、余裕たっぷりの表情で構えた。どうしよう、こっちは疲れ切ったロジカルと、あとはあんまり余裕の無い私とクリティカルしかいないのに。 「ねえクリティカル、ドミサイルを何とかして倒せないかな?」 「厳しいわね。さっきの分身で魔力はかなり使ってしまったし、見たところ彼は全然油断してないし」 私もドミサイルを倒せるだけの力なんて残ってない。このままじゃ、どう考えてもこっちの負けにしかならない。その時だった。 『ちょっと、ドミサイル!?あんた私のドクドクターどこへやったのよ!あんたが持ち出したってニックジールから聞いたわよ!早く返しなさい、あれで試したい実験があるんだから!』 ここまで聞こえるくらいの大声がドミサイルのモノクルから響いてきた。あれってバラバラヴァーの声だよね。なんかすごい怒ってる。ドミサイルもたまらず顔をしかめてるし。 「バラバラヴァーか。もうアマゾンの奥地はいいのか」 『そんな事よりドクドクター!早く持って帰って来て!』 「あれは先ほど、マジカヨフィジカルの手で宇宙まで投げ飛ばされたが」 『はぁあああーーーーー!?何してくれてんのよこのバカ!さっさと探しに行きなさいよ能無し将軍が!見つからなかったらあんたの体で人体実験するからね!』 「俺はサイボーグなのだが・・・む、通信が切れている」 ドミサイルはちょっと考えた後、こちらに視線を向けた。 「マジカヨ達よ、今日はここまでにしておいてやろう。俺はこれからドクドクターを探さねばならん」 そう言って、ドミサイルは上空に飛んで行ってしまった。これは私たちの勝利・・・だよね? 「リリカル、とりあえずこの人たちをどうにかしないとでしょう。あなた、回復魔法は使えるのかしら」 「あっ、そ、そうだよね。ウィルスが残ってるんだもんね。・・・できるかな」 「スネイルミの時のように、やりたい事をしっかりイメージして魔法を使ってみなさい。きっとできるはずよ」 私は目を閉じて集中する。治したい・・・ウィルスをやっつけて、みんなを元気な状態に治してあげたい。悪いウィルスなんて、全部吹き飛んじゃえ。 「リリカル・キュアブリーズ!」 さぁっと、公園の木々に桜の花が咲いた。夏には似つかわしくない、気持ち良い春風が吹き抜けて倒れてしまった感染者さん達を優しく撫でていく。すると、筋肉質になっていた人たちはみんな元通りの服を着たいつもの姿に戻ってくれた。 「やはり、あなたの能力はそれなのね。フィジカルは『強い力』を望んであの肉体を手に入れ、ロジカルは『論理的な戦い』を望んであのスマホ型端末を手に入れた。あなたは恐らく最初に『誰かを助ける魔法少女』になる事を望んだから、魔法少女としてイメージできる事は何でもできるようになった。個性がないのではなく、想像力が足りなかったのよ」 そうだったんだ。ロジカルやフィジカル、そしてクリティカルの戦い方が魔法少女っぽく無さ過ぎて、それに振り回されてて気づけなかったのかも。 「これからはもっと力が必要になってくるわよ。どうやらヤバーイの首領は、あのドミサイルが忠誠を誓うほどとんでもない化け物のようだしね」 そう言ってクリティカルはふっと消えてしまった。私たちも、今日みたいな苦戦を強いられないようにもっと強くならなきゃ!
