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【ドラゴン】竜騎士キレーヌ
灼熱の日差しが注ぐ渓谷、キレーヌは飛竜型魔物の討伐クエストを受けていた。渓谷に到達して早々に討伐対象を見つけた時には戦意に満ちた笑顔を浮かべていたのだが。 「もー!また飛んで逃げるし!手の届かない所をずーっとぐるぐるぐるぐるするのやめろよぉ!」 討伐対象と戦闘に突入したものの、キレーヌが手強いと見るや飛竜は上空を飛び回り、時々ブレスを吐いてきたりする。疲れた時も遠くに着地して休むので、キレーヌが攻撃できない時間がずっと続いていた。 「もーあったま来た!疲れるから嫌だったんだけど、こうなったらアレの出番だね!」 キレーヌは精神を統一し、『理想の自分』を強くイメージする。 「クラスチェンジ!」 鋭い叫びと共に、キレーヌの姿が変わっていく。黒い軽装はほどけ、空を写し取ったような蒼が目を引く騎士の服を纏う。大きな剣は突撃槍へと形を変える。極めつけには、キレーヌよりも大きな体格の、いわゆるワイバーンと呼ばれる魔物が傍らに現れた。 「剣士から竜騎士へのクラスチェンジ完了!さぁて、これで空中戦もできるからね。覚悟しろ~!」 ワイバーンに跨り、槍で進路を示すと同時、ワイバーンはキレーヌを乗せたまま羽ばたき、空へと舞い上がった。 数分後、キレーヌは見事に飛竜を討伐し、地上に戻ってきた。ワイバーンが頭を下げ、キレーヌが降りやすいようにしてくれる。 「ふー、終わった終わった。でもやっぱり空を飛ぶ相手は狩人か魔法使いを募集して連れてきた方がいいなぁ」 キレーヌがクラスチェンジを解除すると、服も武器も元に戻り、ワイバーンもかき消えた。これは冒険者に許された『クラスチェンジ』というもので、発動すると別のクラスへ変身できるものである。本人に適正さえあれば、魔法使いから重装騎士に変身するような事も可能だ。ただし著しく体力を失うため、あまり頻繁に使われる技ではない。 「そろそろ遠くにも当たる剣技、練習しようかなー」
