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妖怪『降神』
降神(おりがみ)は、いわゆる『粗末にされたものが人間に恨みの念を持ち、実体を得た』タイプの妖怪。 『ある男が納豆のパックに入っていたからしを捨て続けてたら、そのからしが美少女に化けて現れ「ちゃんと私を食べなさい」と迫ってきた』みたいな命の危険がないタイプではなく、ガチで殺しに来るタイプ。 しかもターゲットは捨てた本人とかではなく、無差別に選定される。その生態や特徴は以下の通りだ。 ・主に夜の路地など、人目があまりないところに現れる。姿は定まっていないが、動物の事が多い。 ・手には何を表現しているのかよく分からない折り紙を持っている。新品の折り紙もストックしている。 ・テレパシーで人間の脳に直接語り掛け、『この場で自分を表現した折り紙を正しく折って欲しい』と頼んでくる。断ったり、失敗すればその人間をバキバキに折って殺害する。 ・人間を殺傷する際には巨大な両手の姿に化けるらしいが、その姿を目撃した者は全て死んでいるためあくまで噂である。 元々は『難易度の高さゆえにちゃんと最後まで折られる事無く、途中で投げ出された折り紙』の無念から生まれたらしい。 そのため、正しく折ってくれる人を捜し求めて夜の町を徘徊し、見つけた人間に新品折り紙を渡して上記の頼みをしてくるのだ。 そして不器用でも下手くそでも、正しい手順通りに最後まで折ってさえもらえれば満足して姿を消す。 逆に「折り方を知らない」や「折れない」などの拒否と、途中で「やっぱ無理」と投げ出すなどすると逆鱗に触れ、「では代わりにお前を折る」という殺害に打って出る。 『降神』という名前は、折り紙にかけている以外にも「降りる=(折り紙を折るのを)諦める」というところに付喪神などと同義の「神」があてがわれ名付けられたのだろう。 現れた姿によって対処の難易度が変化し、鶴など比較的簡単な動物ならまだいいが、ウサギ、ゴリラ、ドラゴン、悪魔などの面倒な姿で出てきた場合はかなり危険だ。 幸い近年はスマホがあり、スマホで折り方を調べられるのでまだ対処が楽になった方だが、スマホが無かった時代はコイツ対策に折り紙図鑑を持ち歩いた者もいるという。
