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【フクロウ】ミリシラ様の休日『寝る前の読書』
「さぁて、最近発表された魔法学の論文でも読むかのぅ」 一日のやる事を終えたワシはベッドに寝転がり、買っておいた本を開いた。『全知全能』の賢者たるもの、最新の知識を取り入れるのをおろそかにするわけにはいかぬからのぅ。着ている寝間着はヒマリが作ってくれたフクロウローブ。肌触りもよく、森の賢者であるフクロウの顔がフードにデザインされており、何よりぷりちーなワシにぴったりの逸品じゃ。 「ふむ、『火炎呪文と氷結呪文の同時発動による極大消滅呪文の安定化』か。アレワシも時々使うけど、気温や湿度にも影響されるから単純に左右の出力を同じにするだけじゃダメなんじゃよなー」 気象変化の魔法を組み合わせて、常に極大消滅呪文の術者の周りの環境を安定させる試みが書かれておったが、同時に三つの呪文を使うのはかなり厳しいため、気象魔法の使い手がもう一人必要とあった。やはり一人でアレを安定して撃つのは難しいようじゃな。 「こっちは『幻覚魔法の利用による、理想の体型に見せるための研究』か。ヒマリがあの虚乳技術を発表しさえすれば、ヒマリも魔法界の偉人になるんじゃがな・・・」 執筆者は『服に幻覚魔法を仕込んで誰から見ても理想の体型に見せる』方法を検討しておったが、幻覚魔法の魔法術式を描いた服を着ても動いただけで簡単に幻覚が崩れてしまったらしい。ヒマリはブラの繊維そのものに魔法術式を織り込んでいるから、動いて服の形状が変わろうが全く幻覚が崩れないんじゃよな。あやつの執念ヤバイわ。 「発表すると貧乳バレするから発表できないのが惜しまれるのぅ・・・」 その後もワシはページをめくっていく。中々興味深い研究が進んでいるようじゃが、やはりワシやシャベリーあたりのレベルに到達できる者はそうそうおらんようじゃ。 「・・・むむ!?『人肌恋しい夜に。魔力で実体あるラブラブなパートナーを作ろう』じゃと!」 ワシが思わず食いついてしまったのはそんな論文じゃった。人形に変身魔法と操作魔法をかけて動かすのは前からあるが、それで理想の異性を作って夜の相手にしようにも、操作魔法のコントロールが面倒過ぎて誰もやらんのじゃよな。地球的に言うと『リモコンでロボットを動かして操縦者の性感帯を刺激するための動きをさせる』ようなもんじゃから、まだるっこしい事この上ない。 「ふむ・・・この論文によると、自分自身の自慰行為のイメージを利用するんか。自分を模した囮を作る魔法を自慰行為のイメージで作り、さらにそこに変身魔法をかけて異性にする、と。なるほど、囮魔法は作った時のイメージに沿って行動するからのぅ。ただこれ、魔力消費が膨大過ぎて普通の人間じゃ3秒くらいで魔力切れじゃな・・・」 執筆者もそれが理由で『個人で使うのはお勧めせず、強力な魔力回復薬を飲みながらやるか、誰かに魔力供給を受けながらじゃないと満足できない』と締めておるのぅ。しかしこれは・・・ワシなら多分、数分は出しておけそうな気がするわい。 「・・・って、ワシは何を考えておるんじゃ!こ、こんな事するくらいなら普通に彼氏作るわい!」 ワシは本を閉じた。そうじゃ、ワシだってその気になれば男の一人や二人・・・。 「出来たら苦労せんわいのぅ・・・」 ワシに言い寄って来るのは大体ロクでもない男じゃし、ワシが『いいな』と思う男はワシの名前を聞いただけで畏まって一線を引いてしまうしで、彼氏どころかボーイフレンドすら全然できん。 「素敵な旦那様、欲しいのぅ・・・」 寂しい。ワシを『全知全能の大賢者』ではなく、一人の女性として見てくれて、包み込むように愛してくれる男と出会いたい。 「寝るか・・・」 そしてワシは、今日も一人寂しく眠りにつくのじゃった。 ※魔力でパートナーを作ってみたミリシラはこちら。(R-18注意・8/3 01:01公開予定) 【R-18】ミリシラ様の休日『魔力でパートナーを』 https://www.aipictors.com/r/posts/629810
