風に預けたメッセージ/スマホ壁紙アーカイブ
【風に預けたメッセージ】 それは、ふと思い立った瞬間だった。 深く息を吸って、空を見上げる。 私は、右手に持っていた麦わら帽子をくるりと一度まわし、そして──投げた。 帽子は、勢いよく青空に舞い上がり、 太陽の光を一瞬きらめかせながら、風に身を任せて流れていった。 誰もいない午後の空の下、私は笑っていた。 なにかを解き放ったような、そんな感覚。 あれは単なる帽子じゃない。 胸にしまっていた言葉、誰にも見せなかった涙、 夢と迷いを詰め込んで、風に預けたメッセージ。 空はちゃんと受け取ってくれた。 私の物語は、ここから始まる──。
