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【たい焼き】ニックジールのたい焼き
「はぐ、はぐもぐもぐはぐ、ぷふぅ。うめえんだなぁ~」 「ニックジール、アンタそれ何食べてるのよ?」 ヤバーイの本拠地にて、何やらおいしそうな匂いを放つ食べ物を頬張るニックジール。それを見つけたバラバラヴァーは声をかけたのであった。 「人間が作るお菓子なんだな。『たい焼き』って言うんだな」 「ふぅん・・・鯛の形をした焼き菓子だからたい焼きなのね?」 バラバラヴァーはそれを一つ取り上げた。 「ちょっと遠くにある人間共の町に行ったら、『オイシイ、オイシイ、タイヤキ、クエ!!』って言いながら踊ってる男がいたんだな。食えって言うからそいつを頭から丸かじりにしてやったけど、あんまり人間らしくなくておいら好みの味じゃなかったんだな~。でも、おいらがそいつを食い尽くしたら町の奴らが口々にお礼を言ってきて、持っていたたい焼きを次々差し出してきたんだな」 「どいつもこいつもたい焼きを持ってるってどういう町なのよ・・・」 バラバラヴァーがそのたい焼きを一口かじる。ほんのりとした甘さと温かさ、柔らかな生地。まずくはない。そう判断したバラバラヴァーはさらに食べ進める。が。 「ぐぅ・・・!?」 途中、ぐにっと歯ごたえのある食感。そして口の中に広がる、肉の味。先ほどまでとはまるで異なる味わいに、思わずバラバラヴァーは残りのたい焼きを取り落として口の中身を吐き出す。 「あ~あ、もったいないんだな~」 「ゲホッ、オエッ!に、ニックジール!アンタこれ中身なんなの!?お菓子っていう感じじゃないんだけど!これ本当に人間がアンタに差し出したの!?」 そうバラバラヴァーが問い詰めると、ニックジールはにやっと笑った。 「そうそう、その人間共が差し出してきたたい焼きは、中身があんことかカスタードクリームとかで甘ったるくて好みじゃなかったんだな~。だからその場にいた人間共を魔法で小さくして、その町にあったたい焼きの店で小さくした人間共をたい焼きの中身にして焼いてやったんだな。熱々の生地に包まれて息苦しさと灼熱でもだえ苦しむ人間の苦痛と絶望が染み込んだ、最高の『人体焼き』が出来たんだな~♪」 ニックジールが持つたい焼きは、まるで人間の断末魔を表すかのように叫ぶ表情をしていた。 「変なもの食べさせないでよね、まったく・・・私はアンタと違って人間を食う趣味はないのよ」 「じゃあ、新しい怪人の素材にするんだな~。きっとおいらが食い尽くしたあいつみたいなヘンテコな怪人が出来上がるんだな」 「おバカ、そんな踊るだけの怪人に何が出来るのよ。第一、たい焼きと組み合わせて強い生物なんて思いつかないわよ。いい?私の作る怪人は、基本的にマジカヨフィジカルとマジカヨクリティカルに対して対策を盛り込まなきゃいけないわけ。そこに持ってきて、生物+生物以外という組み合わせじゃないとダメなのよ」 「なんで生物同士とか無機物同士はダメなんだな?」 「そりゃ、生物同士だとそれぞれの自我がぶつかり合って行動に不具合が出やすいし、無機物同士だと自我が無いからまともに動けないのよ。以前作ったドクドクターはウィルスと人形の組み合わせだったけど、ウィルスの自我が薄すぎて動きがもの凄く鈍かったでしょう」 「じゃあ、元々強い生き物とか貴重な無機物を素材にすればきっと強い怪人が出来上がるんだな。そういうの作ればいいんだな」 ニックジールがそう言うと、バラバラヴァーは見るからに怒りの感情を募らせた。 「・・・アンタね、どの口がそれを言うのかしら。最近、人狼+王冠というレア素材同士の組み合わせで作り出した超強力な怪人がいたんだけど。それをあっさり倒されるような運用してくれたのはどこのどいつだったかしらねぇ?」 「お、オーカンスロープの件はおいらのせいじゃないんだな!簡単にハニートラップに引っかかるバカな怪人のせいなんだな!」 「性質上、狼も権力者も性欲は強いからそうなるに決まってんでしょうが!そこをフォローするのがアンタの役目だったのよ!」 「あー、うるせぇんだな!バラバラヴァーがヒスババアになったんだなー!」 「誰がヒスババアだこの肉団子野郎ー!」 やはり一枚岩とはいかないヤバーイなのであった。
