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【3Dプリンタ】ゴーレムメイカー

「おおー、中々良い感じではないか」 私がミリシラ先生の部屋を訪ねると、ミリシラ先生は満足げな声を上げていた。見ると、机の上には3Dプリンタとミリシラ先生のフィギュアが置かれている。 「あー、3Dプリンタじゃないですか。先生、これどうしたんです?」 「3Dプリンタ?これはゴーレムメイカーじゃぞ。お手軽にゴーレムを作れる機械じゃよ。ほら、このワシの姿をした奴がその機械で作ったゴーレムじゃ」 詳しく話を聞くと、極東遺跡群から発掘した装置を約1年もかけて解析、修復したものらしい。じゃあやっぱり3Dプリンタじゃん。あそこ元は秋葉原だからなぁ。 「これは本来、単なる出力装置でしか無かったみたいなんじゃが、こいつに何を作らせるかの命令を出す機械が見つからんかったんじゃよ。肝心のそれがなきゃどうにもならんから、ちょっと構成をいじってな。幻覚魔法を使ってイメージを伝えると出力できるように改造したんじゃ」 ミリシラ先生は自慢げにそう語る。確かに、三次元データが無いと動かないもんね。というか、これ私が生きてた時代の奴より高性能なモデルかも。だって塗装までされて出力されているし、見たとこサポート材の残骸とかもない。 「ヒマリ、お主もちょっとやってみぃ。幻覚魔法ならお手のもんじゃろ」 「普通に見せたいイメージをこれにぶつければいいんですね?」 私が幻覚魔法を3Dプリンタにかけると、勢いよく動き出してすぐにミリシラ先生のフィギュアを生成した。早い。やっぱりこれかなり次世代機のやつだ。 「お、お主・・・あてつけか!何でワシの作った奴よりカッコいいゴーレムを作るんじゃ!」 「ミリシラ先生が作れって言ったんじゃないですか」 しかし、ゴーレムメイカーか。確かに、理想の形状の人形を即座に生成できるとなればゴーレム使いには革命的な機械と言えるだろう。ちまちま泥人形を作らなくていいんだから。 「これ、うちのゴーレム研究会とかに寄贈したら喜ばれそうですね」 「もうしてあるぞ。復元したのは2台あってな、その内1台をくれてやったんじゃ」 なるほど。面白そうだし、ちょっと見に行ってみようかな。私はミリシラ先生に本来の用事だった課題を提出すると、その足でゴーレム研究会の部室に向かった。コネサンス魔法学園は広く、たくさんの部屋がある古城を元にしてリノベーションを行い校舎としている。つまりは部室として使える部屋も多い。そのため、部活動として特定の魔法を研究する集まりはかなりの数にのぼる。ゴーレム研究会もその一つだ。 「とはいえ、確か今ゴーレム研究会は部員ほぼいないらしいけど」 ゴーレム使いは魔法使いの中でもかなりマイナーで、人気がない部門だ。理由はいくつかあるけど、泥人形を用意しないと何もできない事や人形作りに失敗すると暴走の危険がある事、さらには簡単に動かせる小さなゴーレムでは出来る仕事が非常に限られ、かといって大掛かりなゴーレムを動かすには緻密な魔法を組み込む必要があり使い勝手やコスパが異様に悪い事もあげられる。要するにデメリットだらけで現代魔法においては時代遅れすぎるのだ。スマホの時代にデルビル磁石式電話機を使うようなもので、余程のマニアでもないと専攻しようなどとは考えない。 「素晴らしい出来栄えでござる!」 そのゴーレム研究会の部室の前に着くと、中から興奮した叫び声。なるほど、早速使って感動しているみたいだ。わざわざゴーレム使いを志すような魔法使いがどんなものを作ったのかちょっと気になる。私はノックして、部屋に足を踏み入れた。 「失礼しまーす」 「のわっ!?ひ、ヒマリ氏ではござらんか!」 部屋にいたのは同級生のルード君一人だけ。彼は典型的なヲタク男子って感じで、ゴーレム研究会というのも頷ける印象だ。部員ってもう彼だけなのかな。そして机の上には。 「・・・ミリシラ先生からゴーレムメイカーの話を聞いて様子を見に来たんだけど。へえ、成程ねー」 「あっ、いやこれはその」 机の上には、ちょこんと体育座りして両手をウサギのポーズにした格好のヴァニラのフィギュアが置かれてた。私はルード君を冷たい視線で見下ろす。 「ヴァニラの人形・・・いやゴーレムか。どうしてそんなもの作ってるのかな?」 「あ、いやその某がゴーレムメイカーを部室に運んでいる最中にヴァニラ氏が興味を示して着いてきてしまったのでござるよ。それで仕方なく彼女をモデルに実演して、その時の格好を忠実に再現したのがこれで・・・」 で、出来上がったフィギュアを見て満足していなくなったんだな。まぁ、ヴァニラはあんまり人形遊びに興味示さないからな。私はそっとヴァニラのフィギュアを持ち上げると、おもむろにスカートの中を確認した。 「ちょ、ちょちょちょヒマリ氏!?何をしておるのか!」 「何をしてるか?それはこっちのセリフなんだけど。何でスカートの中まで忠実に再現されてるのかな?ん?想像だとしたらとびっきりタフな妄想ね」 「だ、だって仕方ないでござろう!某が『ゴーレム作りのために、文面だけで良いからどんな下着を穿いているのか教えて欲しい』とダメ元で頼んだらその場でスカートをめくり上げて中身を見せてくれたのでござるよ!文面だけで教えられてたらそれを元にイメージするつもりでござったが、見てしまった以上はそれを忠実に再現するのがゴーレム使いの矜持というものでござって」 私は手の中に魔力を集中させ、ヴァニラのフィギュアを炎で包み込んだ。 「ああーッ!?ヴァニラ氏を忠実に再現したフィギュアがー!何と言う無慈悲な!ヒマリ氏は鬼でござる!」 「鬼だぁ?大分慈悲深いでしょうが。じゃあ、『ゴーレム研究会がヴァニラをモデルにしたこんなエロゴーレム作ってました』ってミリシラ先生や学校中の女子たちやルード君の内定先に見せて回ってバラした方が良かった?」 「お慈悲をいただき大変かたじけのうござる」 ルード君はあっさり頭を下げた。全くもう。 「女の子モチーフで作るなら、こういうのにしときなさいよ」 私はゴーレムメイカーに魔法をかけ、ジオラマと一緒にデフォルメ調のフィギュアを出力した。 「おおお!こ、このキャラは!?」 「イチゴのショートケーキをモチーフにしたフレーズ・ミニオンちゃん」 「ねんどろいど味があるでござるなー」 ・・・ん?ねんどろいど?まさかルード君、転生者なのか?そういや、炎を出した時に『フィギュア』って言ってたな。この世界にそんな概念浸透してないのに。・・・仕方ない、転生者同士のよしみという奴だ。 「・・・ほら、ルード君」 「え?・・・あれッ!?さっき燃えたはずのヴァニラ氏フィギュア!なぜ無傷!?」 「さっきのは幻覚魔法で、焼き尽くしたように見せただけ。このゴーレムのディティールが凝っている理由は分かったけど、これ他人に見せないでよ?これ他人に見せるのは、言ってみればスカートの中を盗撮した写真をバラまくのと同義だからね」 私がそう言うと、ルード君は何度も頷いてヴァニラのフィギュアを大切そうに手にした。 「と、時にヒマリ氏をモデルにしたゴーレムをこれの隣に並べたいのでござるが」 「調子に乗るなよ?」 私はルード君を一蹴して、ゴーレム研究会を後にした。

コメント (12)

thi

フィギュアを燃やされなくて良かったです

2025年09月18日 14時59分

早渚 凪

割と容赦のないヒマリですが、流石に誰かの大切なものをいきなり破壊したりはしません。・・・よっぽど怒ってたりしなければ

2025年09月18日 15時11分

ippei

まさに中を見てくれと言わんばかりのフィギュアですね

2025年09月17日 14時44分

早渚 凪

ヴァニラのフィギュア、そのスカートの中がどうなっていたのかはヒマリとルード君、そしてヴァニラ以外は知るすべもありませんね。

2025年09月17日 15時34分

へねっと
2025年09月17日 13時25分

早渚 凪

2025年09月17日 15時32分

五月雨
2025年09月17日 12時34分

早渚 凪

2025年09月17日 15時32分

white-azalea
2025年09月17日 10時50分

早渚 凪

2025年09月17日 12時35分

ucchie2772
2025年09月17日 03時48分

早渚 凪

2025年09月17日 12時35分

白雀(White sparrow)

ルード君の前世は誰だろう? すでにどこかで出てる人だったり?

2025年09月17日 03時45分

早渚 凪

こんな特徴的な喋り方のキャラが出てたらすぐバレますってw まだルード君の前世の姿は登場してませんが、登場するかも分かりませんね。

2025年09月17日 12時35分

サントリナ
2025年09月17日 02時59分

早渚 凪

2025年09月17日 12時34分

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2024年7月よりAIイラスト生成を始めた初心者です。 基本はオリジナルキャラで、まれに二次創作作品を投稿します。オリジナルキャラに関しては、エロ系・グロ系含み完全コラボフリーですので気軽に連れて行ってください。 年齢区分は全年齢~R-15を中心に投稿します。R-18作品もたまに投稿しますが、現在はサイト内生成のみでイラスト生成を行っていますので、規約違反を含むR-18作品(性器描写等)は投稿できません。 ストーリー性重視派のため、キャプションが偏執的かと思いますがご容赦願います。

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