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【長編04】悪夢の幕開け

●SIDE:早渚凪 私と瑞葵ちゃん、向日葵ちゃんはパーティーのメイン会場で主催者の挨拶を聞いた後、素早くサブ会場へ移動しました。何せ、メイン会場にいつまでもいたら瑞葵ちゃん達のお父さんに見つかってしまいかねないからです。 「立場ある人は大体メイン会場で、同伴者はいくつかのサブ会場にばらけているみたいなので多分すぐにお父さんに見つかる事は無いんじゃないかと思います。お父さんも仕事で来てる訳ですから、私たちを探し回ってばかりいられませんし」 「ちなみにだけど、もし見つかったらどうなるのかな・・・?」 「えーと、父の事ですから日本刀を振り回して早渚さんを追い回す可能性を否定できませんね。いや、流石に刀は持って来れないか。・・・まあ素手でも父は恐ろしく強いので、捕まったら多分死にますよ」 そんな状況で楽しめるか!って思いましたが、出されている料理やお酒はどれも上等なものばかりです。ただ飲み過ぎると船酔いとかの時に恐ろしい失態をする可能性があるため、お酒は最低限に留めます。 「そう言えば、屋外ステージの方でライブありましたよね。ほら、凪さんがこの間グラビア買ってた天ノ杓エリスロさんが出演するやつ」 「ちょ、違うって。あれはグラビア目当てじゃ無いって言ったでしょ」 「・・・そのエリスロさんって、胸ある人ですか?」 向日葵ちゃんが怖い雰囲気になってる。なんとか誤魔化さねば。って思ってたのに、瑞葵ちゃんが何故かスマホのカメラロールに保存してたあの雑誌のページを向日葵ちゃんに見せてしまう始末。 「おねーちゃん、これだよ」 「・・・早渚さん、やっぱりおっぱい星人なんですね」 軽蔑の目で見ないで欲しい。違うんです。誤解なのに。 「まぁでも、せっかくだから行こうよ。おねーちゃんも凪さんも、ずっと食べて飲んでばっかりするよりそっちの方がいいでしょ?」 「それはそうね。じゃあ、時間になる前に行きましょうか。直前の移動って絶対混雑するし」 それからもう少し料理を楽しみ、私たちは早めに屋外ステージに移動します。ただ既に、最前列の方はかなり人がいました。やっぱり、人気者なのかな天ノ杓さん。 「夜風が気持ちいいですね」 「この高さでも海の匂いが結構するね」 瑞葵ちゃん達も普段乗る事の無い豪華客船の雰囲気を存分に楽しんでいる様子。と、私に不意の尿意が。 「ごめん、ちょっとお手洗いに行ってくるよ」 「あー、風で冷えちゃったからですか?良ければここで温め合いますか?」 「おいこんなところで盛るな。発情期の猫でももっと慎みあるわ」 警備スタッフらしい人がいるところを確認し、瑞葵ちゃん達を近くに連れて行った後で私は船内に戻ります。これでもし酔っ払いにナンパされても、警備員さんが助けてくれるはずです。まぁ、この船の客層から考えるとそんな節操のない人間は少ないと思いますが。 「ふぅ」 トイレで用を足した後、屋外ステージに戻ろうと思った私でしたが、どうやら途中で道を間違えたようであまりひと気のない通路に出てしまいました。 「あれっ、どっちだったっけ。まずいな、船内の見取り図とかどっかに無いかな」 周囲を見回していると、不意に廊下の壁の一部が外れて人が出てきました。どうやら配線などをメンテナンスするためのダクト大の通路が隠されていたようです。 「お、お前は・・・紅!」 「ん?」 しかしその人物は、よりにもよってテロリンの紅でした。以前顔を合わせた時も、躊躇なく私を殺そうとしてきたその顔を忘れる訳はありません。 「・・・お前、あの時の男か。だが今は時間が無い。お前に構っている暇は無い」 紅はそう言うと、今出ていたメンテナンス通路の中に何か機械をセットし始めました。まさか、あれは爆弾!?本当にこの船でテロを起こそうとしてるのか! 「おい紅、それ爆弾だろう!またテロをする気か!」 「ああ。これだけ大勢の人間、それも大物ばかりが乗る豪華客船を狙わない手は無い。だが計画の時間がシビアでな、もう少し爆弾を仕掛ける必要性がある」 ヤバい。紅はやると言ったら本当にやる奴だ。今すぐに避難を呼びかけないと。いやでも、既に船は海の上だ。ここで紅を止めた方が・・・しかし、私に荒事の経験はあまり無い。勝てる見込みが薄すぎる。私が悩んでいる間にも、紅は着々と作業を進めていきます。 「・・・歌声がかすかに聞こえるな。もうライブの時間か。そろそろ救命ボートに爆弾を仕掛けないとならん」 「!」 紅の奴、救命ボートで逃げようとする人たちを残らず爆殺する気なんだ。私の中で冷たい怒りが燃えました。 「いい加減に・・・しろッ!」 私は紅に駆け寄ると、その顔目掛けて全力で拳を振りぬきました。作業をしていた紅はその拳を頬にまともに受け、通路の床に倒れます。こつん、と音がして彼の奥歯が通路の壁に跳ね返って私の足元に落ちました。 「はぁ・・・はぁ・・・」 「ち・・・お前に構う暇は無いと言っただろう」 紅は口から流れる血を拭いながら立ち上がり、近くの壁の足元を蹴りました。するとそこにもメンテナンス用通路が開き、紅はその中に滑り込んで行きます。 「ま、待て!」 私がその通路を覗き込んだ時には、既に紅はどこか別の場所に移動していたようで、どっちに行ったかも分かりませんでした。私は紅の追跡を諦め、何気なく床から紅の奥歯を拾うとポケットに入れ、屋外ステージ目指して走り始めます。 「確か階段を降りた気がする・・・上、とにかく上を目指さないと」 しかしこんな時に限って、中々道が分かりません。数分以上もさまよった後、気付けば私はメイン会場の前に戻ってきていました。 「よ、よし・・・ここから順にたどれば、多分屋外ステージまで行ける」 しかし次の瞬間でした。轟音が下の方から響き、船が大きく揺れます。もしかしなくても、紅の爆弾が爆発したのでしょう。テロが、現実のものになってしまった。 「うわっ」 しかも一回ではなく、立て続けに船底側から爆音がしてきます。これはもう完全に、船底に穴を開けて沈没させるつもりのようです。この事態に、メイン会場の中の人々がパニックになって外に逃げ出してきました。

コメント (14)

thi
2025年10月04日 07時10分

早渚 凪

2025年10月04日 07時36分

mooooooooo1230
2025年10月02日 10時46分

早渚 凪

2025年10月02日 13時22分

善繁昌
2025年10月02日 08時06分

早渚 凪

2025年10月02日 13時22分

gepaltz13
2025年10月01日 23時14分

早渚 凪

2025年10月02日 03時14分

Rin
2025年10月01日 22時37分

早渚 凪

2025年10月02日 03時14分

white-azalea
2025年10月01日 13時27分

早渚 凪

2025年10月01日 15時05分

T.J.
2025年10月01日 13時14分

早渚 凪

2025年10月01日 15時04分

五月雨
2025年10月01日 12時30分

早渚 凪

2025年10月01日 15時04分

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2024年7月よりAIイラスト生成を始めた初心者です。 基本はオリジナルキャラで、まれに二次創作作品を投稿します。オリジナルキャラに関しては、エロ系・グロ系含み完全コラボフリーですので気軽に連れて行ってください。 年齢区分は全年齢~R-15を中心に投稿します。R-18作品もたまに投稿しますが、現在はサイト内生成のみでイラスト生成を行っていますので、規約違反を含むR-18作品(性器描写等)は投稿できません。 ストーリー性重視派のため、キャプションが偏執的かと思いますがご容赦願います。

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