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【通話ヘッドセット】“不”通話ヘッド石器
時は石器時代、あるところにマンモスを狩猟する原始人の一団がいた。その長は頭に不思議な形をした石器を乗せていた。 近代の人間が見れば、それはヘッドセットの形状をしていると分かるだろう。だが、この時代にそんなものがあるわけはない。 電源がないどころか、機械ですらないのだから通話ができるわけでもないし、声を部下に届かせるのに役立つわけでもない。 機能面で見れば小学生の段ボール工作のヘッドセットとそうは変わらない。いやむしろ、石である分こちらの方が重たく余計に役立たずだろう。 しかしこれを頭にはめた長は、いつも満足そうだった。あたかもこれが本当のヘッドセットであるかのように部下に攻撃指示を出し、寝る時には大切に手入れして枕元に置いておく。 どうして彼がこれを作り、宝物のように大切にしていたのかは今となっては知りようがない。 長は格好よく着飾っているつもりだったのかも知れないし、それとも原始人たちにとってはこれが威厳を示す王冠のようなものだったのかもしれない。 一つ言える事は、長はあまりに時代の流行を先取りし過ぎていた。それゆえ、後の世の学者たちにも手の込んだフェイクと断じられ、この『ヘッド石器』は歴史の闇に葬られる事となった。 ※他の方とネタが被ったらごめんなさい
