ノスタルジック秋の風景[4]/スマホ壁紙アーカイブ
【紅葉のトンネルを抜けて】 この道は、毎年秋になると別世界に変わる。 オレンジと金色の葉が空を覆い、風が吹くたびに静かに舞い落ちる。 歩くたびに、足元でカサカサと音が鳴る。 まるで、この季節だけにそっと現れる時間の抜け道。 かつて、少年だった私はこの道を歩いて学校に通った。 友達と笑いながら走ったこと、初恋の子とすれ違った時の胸の高鳴り、雨上がりに虹を見た朝。 すべてがこの道に、落ち葉の下に、残っている気がする。 いま、大人になった私は久しぶりにここを歩く。 季節も、風景も、思い出も、全部変わっていない。 変わったのは、自分だけかもしれない。 それでもこの紅葉のトンネルを抜けると、また少し前に進める気がした。
