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【モーニングセット】ミリシラのモーニングセット
ワシの出勤前のルーティーンの一つに組み込まれておるのが、ここで朝食を摂る事なんじゃ。 このバルはワシの家からコネサンス魔法学園までの道中にあり、平日は朝と夜に営業しているお店での。いつも静かで落ち着いた時間を過ごせるいい店じゃて。 朝食としては、サンドイッチとコーヒーを組み合わせたモーニングセットをいつも頼んでおる。価格もお手頃で量も多過ぎないし、もう一品欲しい時にはサイドメニューもいろいろある。 そして食後に温かなコーヒーをゆったり味わう・・・実にオトナっぽい朝食風景じゃろう? そして老店主に代金を手渡し、クールに感謝の言葉を伝えてから足取りも軽く魔法学園へ出勤していくというワケじゃ。 ― ミリシラ様がよくこのお店に来店されるそうですが? 店主「ああ、ミリシラ様ですか。いつも贔屓にしていただき、ありがたいものです。実は初来店時にサインをお願いしたのですが、快く一筆してくださいました」 ― あ、額に入れて飾ってあるアレですね。しかし、有名人がよく来るお店という事なのに緊張とかはないのでしょうか? 店主「最初は驚きましたが、彼女も普通のお客様と変わりありませんよ。毎朝、口に食べかすをつけながらサンドイッチをもっきゅもっきゅ頬張る姿を見ていると、まるで孫娘ができたようで癒されます」 ― 微笑ましいですね。 店主「お代金をいただく際には、『今日も美味しかったのじゃ、また来るからの!』とにこにこ顔で口にして下さるので、私も歳に負けず頑張ろうという気持ちになりますね」 ― 齢ですか。・・・そういえば、後継者の方はいらっしゃるのですか? 店主「それが、残念ながら。お店自体も目立たない所にありますし、私が営業できなくなったら店じまいとなるでしょうね」 ― そう、ですか。立ち入った事を聞いてしまいましたね。すみませんでした。 店主「いえ、気にしないでください。では私は、そろそろ夜の仕込みがありますので」 後年になってこのバルには若い料理人が入り、穏やかな朝の朝食に魅力を感じた高齢層の客足が増えた。 それは閉店させまいとしたミリシラの働きかけだったのか、それとも店主にインタビューをした記者の影響なのかは不明である。
