天空に向けてひと振りの願い/スマホ壁紙アーカイブ
【天空に向けてひと振りの願い】 空は澄みきって、雲はまるで記憶のように流れていた。 少女は古の剣を手に、紅葉に染まる大樹の前に立つ。 この木は、願いを空へ届ける天ノ樹(あまのき)。 一振りの剣が空を切り裂き、想いが風に乗るという伝承があった。 少女の願いはただひとつ。 もう一度、あの人に会いたい──。 剣先をそっと空に向け、葉が舞う瞬間を選ぶ。 その一振りに込められたのは、剣技ではなく祈り。 葉は舞い、風は応えた。 その日から、木の根元には誰かの影が、そっと佇むようになったという。
