ハートの雲と寄り添うふたり/スマホ壁紙アーカイブ
【ハートの雲と寄り添うふたり】 朝露が草を包むころ、ふたりは静かにその場所に立っていた。 何も言葉はいらなかった。 空がすべてを語ってくれていたから。 風が流れ、雲が寄り添いながら形を変え、やがてハートを描いた。 それは偶然か、運命か。 どちらでもよかった。 ただ、それがふたりへの祝福だと信じるには十分だった。 「見て、雲…」と彼女がささやくと、彼はそっと手を重ねた。 朝日がその指先に温もりを宿し、ふたりの影は少しだけ近づいた。 何十年経っても、この日の空だけは忘れないだろう。 恋が始まったのではなく、恋が確かになった朝だったから。
