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【狼】人狼シスター・レアン
辺境の町に暮らす『シスター・レアン』。狼の獣人族に見えて、実は彼女は魔物である。 人に化けて集落に潜み、夜な夜な人肉を求め人を襲う怪物『人狼』。何人もの人間を喰らった怪物である彼女だったが、ある時『人狼ハンター』の男によって捕らえられた。 捕らえたと言っても、簡単には殺せない。人狼は凄まじい再生能力があり、通常の攻撃では倒しても復活する。高価な『銀の弾丸』を用いれば消滅させる事も出来るが、レアンを捕らえた人狼ハンターは聖職者でありながらケチだった。 そこで聖職者はレアンを『調教』した。多少ぼかして説明すると、お腹の奥を内側と外側からトントングリグリ刺激して強烈な快楽を脳に送りつつ、信力を込めた『生命の源』をたっっっぷりと注ぎ込んだ。一晩中にわたって神経が焼き切れると錯覚するほどの快楽を打ち込まれ、体の中から信力で浄化されたレアンは邪悪な心と人狼としての能力をすっかり失い、人間大好きなわんこ娘になった。 だがエンゲル係数の上昇を嫌った人狼ハンターは、ついて来ようとするレアンを適当な町で聖職者仲間の司祭に預け、さっさと立ち去った。残されたレアンは、その司祭の元でシスターとしての暮らしを学びながら生きることになる。いらない混乱を招かないために人狼という事は伏せられ、狼の獣人族として紹介され、明るく人懐こいレアンは町の人たちにも受け入れられていった。 ところがレアンには重大な問題点があった。人狼ハンターに浄化されたとはいえ、元々『人を食う』存在であるレアンは、満月の日を中心に『人間を食べたい』衝動が鎌首をもたげるのだ。人狼の能力がないため、人を引き裂く爪も牙も失ってしまった今は人を襲うのも難しい。いつも部屋で枕を強く抱いて唸り、気を紛らわせていた。司祭はそれをひどく心配した。 そして司祭は、一つの妙案を出した。『人を食う』事の代わりになる儀式をすれば良いのだと。儀式といっても本格的な『悪魔召喚』みたいなものではない。『動物を真似た動作でその動物の力を借りる』とか『特定の形に手を組み合わせ印を結ぶ事で魔術的な力を発揮する』みたいな簡易的なものだ。つまり、本当に『人を食う』代わりに、ある意味では『人を食う』と言えることをすればいい。 白羽の矢が立ったのは、町に住む男子達だった。満月は月に一回なので、その月に12歳になる男子達のところに教会から案内状が届くのだ。名目は『男子の健全な性徴を祈願する儀式』で、実際の内容は『シスター・レアンによる性教育(実技あり)』だった。 参加希望した男子は、夜の教会にお泊りする事になる。そしてシスター・レアンが順番に部屋を回り、男子達に性的なアレコレを手ほどきしていくのだ。シスターがこんな事をするとか神様がお怒りになると思われるかもしれないが、ここの司祭がお伺いしたところ『荒ぶる人狼の魂を暴力で調伏するのではなく平和的に鎮めるための良案』と啓示があったらしい。なので司祭も実行に踏み切ったというわけだ。 朝になって解散する際には、儀式の具体的な内容は秘密にするよう言い含められた少年たちだったが、町の少年たちの間では夜に何があるのかはすっかり有名な話になり、参加率は極めて高くなった。女子と大人には内緒というのは彼らの共通認識で、こういう時の彼らは異様に結束力があるため男子以外には知れ渡る事は無かった。かくして、この町の少年たちはそのほとんどがレアンに少しずつ『食べられた』。 実際の所、レアンに『食べられた』少年たちは健やかに性徴もとい成長し、どこか自信と余裕を感じさせる振る舞いで立派な大人になっていった。その事が評判を呼び、他所からこの町に移住してくる家族も増え、少子化とも無縁の賑わいを見せる町となった。 レアンは今日も屈託のない笑顔で、町の住民・・・特に少年たちを見守っている。
