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【ハイヒール】レアンとハイヒール
※この投稿の関連作品は以下の二つです。 【ハイヒール】回復スキル『ハイヒール』 https://www.aipictors.com/posts/630326 【狼】人狼シスター・レアン https://www.aipictors.com/posts/673005 「あれあれ~?おかしいですねぇ、女の子に足蹴にされてるのに、どうしてもっとして欲しそうな顔してるんですか~?」 「・・・うーん、ダメみたいですね。シスター・レアン、貴女に悪い笑顔で『ハイヒール』を使用する才覚はありそうですが、力加減がなっていません。それに、体から漏らすなら魔力ではなく信力にしておいてもらいたいのですが」 ここはとある町の教会。シスター・レアンはこの日、ハイヒールを履いた足で司祭を踏みつけていた。無論、特殊なプレイや反逆ではない。回復スキル『ハイヒール』を習得するための訓練として、司祭が練習台になってくれているのである。 「そうは言っても司祭様、わたしは人狼。魔物なんですよ~?魔力はあっても信力なんてありません~」 「まぁ、まだシスターとして日が浅いですからそこは大目に見ましょうか。セリフ回しや表情は良かったので、後は怪我をさせない力加減が必要ですね。先ほどのはかなり痛かったですよ」 司祭はそう言いながら、自分の体に回復の聖術をかける。ハイヒールで踏まれた事による怪我の痛みはたちどころに消えた。 「次、蔑みの表情でやってみましょう。こちらを好む対象者もいますので」 「うぇえ~。司祭様、そもそもこの回復スキルが役に立つことってあるんですか~?」 「・・・実際のところ、役立つケースは稀です。ですが貴女は、信力が不足している故に初歩中の初歩の回復聖術も扱えません。せめて聖職者として、回復スキルの一つは持っていなければ格好がつきませんよ。ですから是非に、『ハイヒール』は習得していただきたい」 「司祭様が嘘をついてはいけないんですよ~?」 「嘘ではありませんよ。今申し上げたのも確かに理由の一つです。それより大きな理由があるのも事実ですが」 この町は大きさの割に住民が多い。つまり、怪我人や病人も多くなる。一方で聖職者は司祭とレアンのみ。しかもレアンはド素人である。つまり聖術関連の負担はほぼ全て司祭に集中するのである。 「新しい聖職者さんを募集するにも、お金が要りますもんね」 「ええ。シスター・レアンが『ハイヒール』を習得して下されば、一部の好事家へのニーズが満たせますので、彼らからの寄付金が期待できます。貴女は12歳の少年と絡み合う方がお好きでしょうが、ぐっとこらえていただきたい。ああ、その苦々しい気持ちを蔑みの表情として出してみては?」 レアンは言われた通り、苦虫を噛み潰したような表情で司祭をぐっと踏みつける。 「変態、変態っ・・・!シスターにこんなことさせるなんて、ホント最低・・・!」 「おお、さっきより良いですね。力はまだ強いですが、その顔でその力加減なら許容範囲と言ったところです。セリフも『嫌々やってる』感じが出ていてグッドですね」 司祭はレアンの成長に喜ぶ。が、レアンは少し複雑な顔で足をどかした。 「わたしとしては、こういう見下すようなセリフは本当は嫌なんですけど・・・」 「でしょうね。少年たちとの情事を見ていれば、貴女が『あまあまおねえちゃん』タイプなのは明らかです」 「・・・司祭様、お金が欲しいならこんな『ハイヒール』じゃなくて、普通にこういうアピールじゃダメなんですか~?」 言うなり、レアンはハイヒールを脱ぎ捨てると教会の床に身を横たえ、足を大きく開いた。 「ハァ・・・ハァ・・・レアンのココ、ジンジンして変なんですぅ・・・自分じゃ良く見えないので、調べてくれませんかぁ・・・?」 人狼少女の発情服従ポーズ。レアンとしてはかなり自信があったようだが、司祭は眉根にしわを寄せて首を横に振る。 「シスター・レアン。それはいけません。それでは風俗嬢と何も変わりませんよ。我々は聖職者です。『ハイヒール』を皆様に施し、心ばかりのご寄付を受け取るのは良いのです。回復スキルに感謝した方々が善意でご寄付下さるわけですから。ですが、貴女のそれは最初からお金目当てで体を売ろうとしているでしょう。聖職者としては失格ですよ」 司祭は厳格にレアンを指導した。しかしレアンは、実に訝し気な視線で司祭を見る。立ち上がってお尻の埃を尻尾で払うと、そっと口を開いた。 「今、確信しました。司祭様、『女の子を押し倒す』とか『女の子に甘やかされる』のは好みじゃなくて、『女の子に尊厳を踏みにじられる』のが性癖なんですね~?」 「な、なにを馬鹿な。聖職者たる私がそのような」 レアンは一枚の絵葉書を取り出して司祭につきつけた。そこには、虫けらを見るような嫌悪の表情を浮かべつつ『ハイヒール』をするシスター少女が描かれている。 「それは!」 「司祭様のお部屋を掃除していたら見つけちゃいました。わたしには誤魔化せませんよ、この絵葉書から司祭様の『オスの臭い』がしてます。何回も『使った』お気に入りみたいですね~?」 人狼の身体能力は失われているとはいえ、並みの獣人族程度には嗅覚が優れているレアン。この絵葉書がどのような用途で使われたのか、ばっちり把握していた。司祭は言葉に詰まる。 「以前わたしに教えてくれた『男の人の体に溜まった悪いものを手でヌキヌキする方法』の時も、『これは儀式だから恥じらったり微笑んだりしないで、事務的に素っ気なく興味が無いような表情でするように』とご指導下さいましたね~?あれも司祭様の性癖からしたら納得です」 すっかり名探偵気取りのレアン。司祭は言い逃れできないと悟り、溜息をついた。 「・・・ハァ、分かりました。神も見ていますし、包み隠さず言いましょう。ぶっちゃけシスター・レアンが少年たちに性教育をするようになってから、寄付金はジャブジャブです。『ハイヒール』を習得させたかったのは、私がその気になった時に踏みつけて欲しかったからです。なんなら私はシスター・レアンの椅子になりたいまであります」 「ぶっちゃけすぎでは!?わたしの椅子って、えぇ・・・?どんびきです・・・」 「あっ、その表情好きです」 「・・・正直なのは聖職者の美徳だと思いますけど、町の人たちにはぜったいバレないで下さいね~。司祭様がこんなだと知れたら、ご寄付ゼロになっても不思議じゃなさそうで・・・」
