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【ゴールド】ゴールドラッシュの裏で
1848年、カリフォルニアで金が発見されるとアメリカどころか国外からさえも、砂金を求めて人間が集った。後に「カリフォルニア・ゴールドラッシュ」と呼ばれる出来事である。 金探鉱のための技術の発展のみならず、開拓地でしかなかったサンフランシスコを一大都市に成長させ、各地で都市開発が行われたカリフォルニアは「カリフォルニア州」に認定されるまでになった。 しかし、光があれば闇もある。採掘による環境汚染は勿論の事、人が集まれば治安も悪化する。金が絡んでいるのだからなおさらである。銃を持った無法者も少なくなかった。 だが巨悪とは、えてして水面下に潜むもの。計算高い彼らは、酒や葉巻を片手にポーカーに興じた。一見単なる遊びに見えて、その実は互いの腹の探り合い。悪と悪の戦いがそこには確かにあった。 1855年を最後に、カリフォルニアの金探鉱は事情が変化して「ゴールドラッシュ」は終わりを告げた。だがこの地が大きな成長を遂げた事に変わりはなく、悪人たちはしたたかにやり口を変えて蔓延り続けた。 人が集まれば、そこには必ずエゴがあり、誰かが嗤う代わりに誰かが泣く。誰もが被害者であり、加害者でもある。それが『社会』だ。だからこそ、人は思いやりの心を忘れてはいけないのだと、私は思う。
