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【指輪】指で輪っかって何のポーズ?
『はさみん、こういうの興味ある?』 お昼休みに獅子島さんからそんな件名と共に送られてきた写真メール。そこには、親指と人差し指+中指で輪っかを作って、舌を出した口の前に持ってきているポーズの自撮りをした獅子島さんが写っていた。 「・・・?」 こういうの、って何だろう。メイク変えた?アクセサリー?それとも髪型?どれもいつもの獅子島さんに見えるけど。 「服装も冬制服だし、おっぱい見せてるわけでもないからえっちな話題じゃないと思うけど・・・」 「羽佐美君?もしかして、また獅子島さんからいやらし・・・変な写真来たとかじゃないよね?」 美結ちゃんがぴとっと僕の横にくっついてきて、スマホ画面を覗き見る。僕は美結ちゃんが見やすいように画面の角度を彼女に向けてあげた。 「よく分かんないんだ。『こういうの興味ある?』ってタイトルでこの一枚だけ来たんだけど、どこを指して『こういうの』なんだろうね?」 「~~~!!!」 美結ちゃん、みるみる顔が赤くなってく。どうしたんだろう。 「美結ちゃん?」 「こ、これ、ふぇ、ふぇら・・・ふぇええ・・・」 顔を手で覆ってしまった。何か恥ずかしそうな・・・あ、くっついた拍子に僕に胸でも当たっちゃったのかな。僕はそっと美結ちゃんから一歩離れて、話を続ける事に。 「美結ちゃん、この写真どういう意味だか分かる?」 「ごっ、ごめんね羽佐美君!わ、私ちょっと分かんないかなあ!」 「そっか・・・もしかして角度を変えたら分かったりするのかな?美結ちゃん、この獅子島さんのポーズちょっとしてみてくれる?」 「そんなの無理だよぉ!?羽佐美君のバカぁ!」 美結ちゃんは脱兎の様に逃げ出してしまった。何だったんだろ。僕はこの写真の意味が分かる人を求めて、隣のクラスにひょこっと顔を出した。自分の席で赤羽さんが寝てる。僕は赤羽さんのそばまで行って、赤羽さんの席のすぐ近くにしゃがみこんだ。柔らかいほっぺたをつんつん、とつついて赤羽さんを起こす。 「ん~?んだ、サイバか」 「お昼寝中にごめんね、赤羽さん。ちょっと見て欲しいのがあって」 僕はあの写真を見せた。赤羽さんは訝し気な顔でじーっと画面を見てる。 「なんだコレ?」 「僕も分かんないんだよ。『こういうの』が何の事なのか分かんないと、獅子島さんに返事できなくて困っちゃうから、友達に聞いて回ってるんだけどね」 でも、赤羽さんも分からないみたい。獅子島さんに直接聞かないとダメかなぁ。 「あ、そーだ。兄貴に聞いてみるわ。サイバ、ちょっとその獅子島と同じポーズしてみ」 「え?うん・・・」 僕は獅子島さんと同じようなジェスチャーをしてみた。赤羽さんがそれを撮影して、お兄さんに送ってくれる。お兄さん知ってるといいんだけどな。 「お、返信来たぞ。・・・『お前羽佐美ちゃんに何させてんだ!?』だって」 「えっ、もしかして失礼なポーズなのかな。中指立てるとか、そういう系の」 「いやぁ・・・ヤンキーものの漫画でも見ねぇけどなぁ。『兄貴、このサイバのポーズって何なんだ?』っと」 そんな事をしてたら、獅子島さんがやって来た。 「はっさみーん、既読スルーたぁどういうこったい?」 「ごめんね獅子島さん。実はあの写真の『こういうの』がどういう意味か分かんなくて、今美結ちゃんや赤羽さん、赤羽さんのお兄さんに相談してたの」 「サイバにそのポーズさせて兄貴に送ったらめっちゃ動揺してんだけど、何なんだあのポーズ?」 僕と赤羽さんの言葉を聞いて、獅子島さんは「そっかー、知らなかったかぁ」って不発を残念がってる様子だった。 「えー、はさみん、バネちゃん。あれはですね、要するにぃ・・・」 僕と赤羽さんに耳打ちするように教えてくれた。僕と赤羽さんの顔がかあっと熱くなる。道理で美結ちゃんが真っ赤だったわけだ。 「オイ獅子島ァ!サイバに何送ってんだ!」 「あ、赤羽さん!それよりお兄さんに説明しないと!これじゃ僕が痴女みたいだよぉ!」 「おーいはさみん、その理屈だと私も痴女なんですけどー」 その後、赤羽さんのお兄さんには送った僕の写真を消すようにお願いしたり、赤羽さんがベルトを鎖分銅のようにぶん回しながら獅子島さんを追いかけて行ったり、図書室で真っ赤になってた美結ちゃんにセクハラを謝ったりと大忙しだった。今度から、ちょっとそういう知識も知っておいた方がいいのかも。セクハラにならないように気を付けながら身近な年上女性・・・蛍さんあたりに相談してみようかな。
