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【テディベア】失敗作・ステディベア
「むむむ・・・えっちゃん的にはこんな挙動は想定外・・・」 町の噴水広場に、巨大なテディベアがドンと鎮座。その上には所在なさげなえっちゃんの姿も。巨大テディベアは子供たちの好奇の的になり、大勢の子供たちが取り囲んでいる。 なぜこんな事になっているのかと言うと・・・ ある町に、不気味な噂が流れていた。『持ち主に捨てられたテディベアが呪いの人形と化して、自分を捨てた持ち主に復讐するために夜な夜な徘徊している』と・・・。 手にはゴミ捨て場で拾った刃物を持ち、目を赤く光らせてぽてぽてと夜の町を静かに歩くその姿を何人もの住民が目撃し、震え上がっていた。 えっちゃんは『風の噂』でそれを聞きつけ、夜の町に裸パーカーで急行。傍目には「露出狂 VS 呪いのぬいぐるみ」という珍妙な構図を作り出しつつも、テディベアを捕らえて住処に持ち帰った。 早速魔改造を施し、出来上がったのが『ステディベア』。元々のサイズよりも何倍も大きくなり、こもっていた復讐の怨念を別の呪具で変換して「単なる動力エネルギー」にした。 えっちゃんの想定では、「乗った人間の思考を読み取って、自動的に目的地まで歩く巨大テディベア」だったのだが、ちょっとした想定外が。 このテディベアは「捨てた持ち主への復讐」の念も確かにあったのだが、「持ち主のところに帰ってもう一度愛されたい」という念もこもっていた。 そのため「復讐の念」は動力に変換したので実質消えたのだが「帰りたい」という念が残ってしまったので、飛び乗ったえっちゃんの意思とは裏腹に、元々徘徊していた町に歩いて行ってしまったのだった。 時間帯が昼間だったためすぐに住民に見つかってしまい、冒頭のように子供たちに取り囲まれる羽目になったというわけである。 人間嫌いのえっちゃんとしては、この状況は面白くない。しかも発明品が想定通りに動かないという不満も相まって、えっちゃんは『ステディベア』をこの町に放置する事に決めた。 えっちゃんは『ステディベア』を「好きにしていいよ」と子供たちに託すと、お尻丸出しで裸足のままぺたぺたと歩いて住処に帰っていったのだった。
