キャンプファイヤーと活力のスープ
レイさん、スープ飲もうよ!! https://www.aipictors.com/posts/686842 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 深まる夜、森のキャンプサイト。焚き火の炎がパチパチと音を立て、三人の横顔を照らしていた。 レイちゃんは青いマントを肩にかけたまま、赤いジャージの袖をぎゅっと握りしめて拗ねていた。目の前には、チェルキーが先ほど出したらしい、深紫色のスープのマグカップが置かれている。 「チェ、チェルキーちゃん……😟 わたくしのスープ、色が、色がおかしいですわ……」 レイちゃんはマグカップに触れようともせず、チェルキーの方を恨めしそうに見上げた。 緑髪ポニーテールのチェルキーは、少しだけ頬を膨らませていた。メイド服のエプロン姿で、両手には大きな斧ではなく、木の枝でかき混ぜたらしい野菜たっぷりのスープの入ったマグカップを持っている。 「レイさん、好き嫌いはだめだよ。このキノコのポタージュは、薬草を練り込んであるから冒険者に最適なんだから!」 「でも、どうみても毒々しい色ですわ!わたくし、変な色のスープは飲めませんの!」 さらにすねるレイちゃん。 「チェルキー、そういうな。旅の途上、美味しく、楽しく食べた方が活力が出るぞ。特にレイは、修行中なのだからな」 横で、静かに自分のマグカップを温めていたアーゼリン(マミー)が、柔らかな声でチェルキーを諫めた。彼女の銀色の髪と健康的な肌が、焚き火の光で優しく照らされる。 アーゼリンの言葉は、チェルキーの技術者と神官としてのプライドを刺激しつつも、すぐに納得させる力を持っていた。 「うう……マミーの言う通りだね」チェルキーは一瞬俯いたが、すぐに顔を上げ、満面の笑みを浮かべた。 「しょうがないね~!じゃあ、このマグはわたくしが頂いて、今夜のスープは作り直すよ!」 チェルキーは、持っていたマグを勢いよく飲み干し、鍋の元へ駆けていった。 数分後、再び焚き火の前へ戻ってきたチェルキーが差し出したのは、赤とオレンジと緑の野菜がゴロゴロ入った、見た目にも温かいスープだった。湯気が立っており、食欲をそそる香りが漂っている。 「ほら、レイさん!今夜のスープは、子供も大人も大好き!**『森の恵みと太陽のラタトゥイユ風スープ』**だよ!美味しいトマトベースに、ハチミツとキノコの旨味が詰まった自慢の一品だよ~!」 「わあ……!」 レイちゃんの瞳が輝いた。疑心暗鬼だった表情が、一瞬ではじけるような笑顔に変わる。 「これなら、わたくし、何杯でも飲めますわ!」 レイちゃんは、大きなマグカップを両手で包み込むように持ち、幸せそうに一口飲んだ。その隣で、チェルキーもアーゼリンも、温かいスープをすすりながら笑う。 焚き火を囲み、和解のスープを飲む三人。この夜、美食神の神官の万能な技術と、アーゼリンの母親のような温かさが、再びレイちゃんの冒険への活力を満たしたのだった。
