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【マスカラ】中学生のギャルと男の娘
これは今より、少し未来のお話・・・。 「ねーねーはさみん!ちょーっといいかなぁ!」 放課後の中学校の教室で、派手なアクセサリーを付けた女子生徒が男子生徒に声を掛けていた。二人の他にはもう誰も残っていない。 「・・・獅子島(ししじま)さんがそういう風に声かけてくる時って、大体僕に不都合な事だよね?」 『はさみん』こと羽佐美サイバは宿題をする手を止め、獅子島なる女子生徒に疑いの目を向ける。 「ちょっとはさみんにね、マスカラつけてみたいなって思ったの!いいでしょ?」 「マスカラ・・・ちなみになんでかな?」 「はさみんが可愛いから似合うと思って!」 サイバはこめかみを押さえて溜息を吐き、それから「どうぞ」と返した。中学校に進級して知り合った獅子島飛鳥(あすか)というこの少女が好奇心の塊であり、なおかつ諦めが悪い事を知っているからである。断っても断っても無限に食い下がり、疲れ果てる羽目になるのが目に見えているからさっさと要求を呑んで終わらせようとしているのだ。 「うむ、素直でよろしい!じゃあじゃあ、私の目を見ててねー」 ぐっと前かがみになり、サイバの顔を覗き込む獅子島。胸の谷間が強調されるが、サイバの目はまっすぐに獅子島の瞳を覗き込んでいる。幼少の頃から年上の女性に襲われる事の多かった彼にとって、最早同級生の谷間などさほどの誘惑でもなかった。 「ちょいちょいちょい・・・っと。よしできた!はい、ピースしてピース!あと笑って!」 「こ、これでいい?」 スマホを構える獅子島に対して、椅子から立ち上がり要求通りにピースをしてあげるサイバ。しかし、獅子島は少し物足りなさそうに首をひねった。 「うーん、もうちょい何か欲しいな・・・アイシャドーとリップもつけよっか」 「アイシャドーはいいけど、リップはいいの?獅子島さんのやつ使うなら間接キスにならない?」 「はさみんならいいよー」 慣れた手つきでサイバの顔にメイクを施していく獅子島。程無くして、赤いアイシャドーとピンク色のリップがサイバの顔を彩った。 「獅子島さん、これで満足した?」 「まだ。・・・うむ、分かった!男子の制服だからダメなんだ!ちょっと私のスカートに穿き替えてみて!」 おもむろに獅子島は自らスカートを脱ぎ、サイバに手渡した。サイバの頭痛が強くなる。 「獅子島さんさぁ・・・女子同士じゃないんだからもうちょっと恥じらいというものをですね」 「えー、だってはさみん年上好きじゃん。同い年の女子のぱんつとか興味なくない?守備範囲外っしょ?」 「そういう問題じゃな・・・はぁ、もういいや。穿くよ、穿きますよ」 サイバはスカートを穿き、それからスラックスを脱いだ。元々女顔のサイバは、女子制服を着ていても違和感がない。 「・・・はさみん、全然女装に抵抗ないね」 「子供の頃からよくいじめで女子の服着せられてたからね。もう慣れたよ」 「重い過去をサラッと言うじゃん。でも大分可愛くなったねぇ・・・あと一味、何が足りないんだろ」 「まだ満足してないの・・・?」 げんなりしてきたサイバだったが、獅子島は目の前で下着丸出しで考え込んでいる。そしてついにポンと手を打った。 「透けブラが足りないんだ!はさみん、ブラ付けてないでしょ!」 「当たり前だよ!僕男子だよ!?男子でブラ付けてる子は少数派だよ!」 「私のブラ貸してあげるから、ちょっと付けてみて」 目の前で服を脱ぎ始める獅子島に、サイバは無言でジャージを投げつけて後ろを向いた。 「で、どうだいはさみん」 ジャージを着て体を隠した獅子島が問いかける。サイバは大きな溜息と共に答えた。 「当たり前だけど、獅子島さんのバストは僕より大きいんだから付けられる訳ないよね。カップのところがスッカスカだったよ。というか獅子島さんの体温が残ってて持ってるだけで罪悪感すごいから早く終わりにして?」 「ダメかぁ・・・しょうがないなぁ、『はさみん女子化計画』は別のアプローチを考えないとね」 ブラを回収しながらそう言った獅子島に、サイバはぎょっとする。 「待って、何その恐ろしい名前の計画。僕女の子になるつもりないからね?」 「えー、その割にはノリノリでスカート穿いてたしブラもチャレンジしたじゃーん。女の子の服着て『可愛い』って言われるの、満更でもないんでしょ~?」 「そんな事ないから。僕が目指してるのは、何でもできる完璧超人なメイドさんの隣に並び立てる立派な頼りがいある男だから」 「えらいビジョンが具体的じゃね!?」 サイバはスカートの下からスラックスを穿き、スカートを脱いで獅子島に返した。その下着を見せない手慣れた着替えの様子は、彼の思いとは裏腹に高い女子力を感じさせるのであった。 ※最後の1枚はオマケで、中学生のサイバ君の簡単なプロフィールです。
