上に行くには、まず下れ/スマホ壁紙アーカイブ
【上に行くには、まず下れ】 僕は出口を探して、上へ上へと階段を駆け上がった。 だが、行き止まり。 もう一度、違う階段を試す。 また上る。また止まる。 フロアは増えるのに、空はどこにも見えなかった。 あるとき、僕はふと逆方向の階段を見つめた。 「まさか…」と思いながら、足を下へ向ける。 降りるたびに、空気が軽くなる。 暗闇の中、最後の一段を降りたとき── 目の前には、一筋の光と“空”が広がっていた。 このビルは試していたのだ。 上に行ける者は、下を知る者だけだと。
