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【招き猫】招きネキにして招きネコ

やっと週末。今月は残業だらけだけどようやく片付いて、明日は仕事も無いし久しぶりにじっくり休めそう。 勤務終わりの私は、そんな事を考えながら駅を出て家に向かっていた。時間は世間一般の『定時』を大幅に過ぎていて、町はすっかり夜の顔になっている。 「酔っ払いに絡まれないといいな・・・」 高卒でOLとして就職した私には、大学生活という経験がない。高校時代のバイトも居酒屋は経験してないから、酔っぱらった男性に対する対処に自信がない。見た目が地味な私を好き好んでナンパする男性なんて普段はいないけど、酔っているならその限りではないかも知れない。 「お兄さん、サービスするよ。うちで飲んでいかない?」 「今日は人気上位のキャストがシフト入ってまーす!」 あちこちから客引きの声が聞こえる。私は女だから女の子と遊ぶお店に呼ばれたりはしないだろうけど、大声で呼びかけてるのを聞くとちょっとビクッとしてしまう。 「・・・あれ?」 ふと目に留まったのは、猫耳をつけた女性。多分同い年か私より少し上くらいだと思うけど、招き猫みたいなポーズをしてる。あれも客引きなのかな・・・やる気なさそうだけど。 「ん?」 あっ、目が合っちゃった。どうしよう、とりあえず会釈して通り過ぎればいいかな。 「お、お仕事お疲れ様です・・・」 「・・・待った」 ささっと通り過ぎようとした私を、鋭く呼び止めて来た。な、何か気に障っちゃったかな? 「わ、私です、か?」 「そう。さっき目が合ったでしょ。アレさ、アタシの事見てたって事だよね。興味あんの?」 「い、いえ別にそういう訳では・・・す、すみません仕事で疲れてるので失礼します!」 「あー?まずはチャージ料払ってよ。目と目が合ったら合意っしょ」 目と目が合ったらって、ポ〇モントレーナーじゃないんだから!そもそもチャージ料って何!?料って料金の事!?じゃあ悪質なぼったくりだよこの人! 「ゆっ許して下さい、お給料日前で手持ちが無いんです・・・!」 「はぁ。じゃあツケでいいわ。てか歳いくつよ?タメ?」 「わ、私22歳です・・・」 「あー、じゃあアタシのいっこ上ね。じゃあおねーさんだ。アタシはアイカ、よろしくね。とりあえず、お店行こっか」 ぱしっと私の手を取って、ぐいぐい路地裏に引っ張っていこうとする猫耳女性アイカさん。私の頭の中で警報が最大音量で鳴り響く。 「ま、待ってくださ、いや、嫌です!帰らせて下さい!」 ふんばろうとするけど、ハイヒールじゃそんな事出来る訳もない。 「そんな嫌がんなくてもいいじゃん、別に性欲まみれの男どもの中に放り込もうってんじゃないんだからさー。仕事で疲れてんでしょ、うちのお店で癒してイッてよ」 「許して、許してぇ!そ、そもそも何のお店なんですかぁ!?」 恐怖で暴れる私。その時、ヒールが折れて私はバランスを崩してしまう。 「きゃあっ!?」 「危ねっ」 咄嗟にアイカさんが私を抱きとめてくれた。お互いの胸同士がぎゅっと潰れ、鼻先がくっつくほど顔が近くなる。怖そうな見た目からは想像もつかない甘い匂いが鼻を掠めた。 「あー、ごめん。ヒール弁償するわ。ケガしてない?」 「は、はい。ありがとうございます・・・」 怖さが勝ってて気づかなかったけど、アイカさんかなり可愛い顔してるかも。私は変な気にならないように素早く顔を離した。アイカさんは気にした素振りもなく頭を掻いている。 「・・・で、何のお店かって話だっけ。え~と、『女性専用ラウンジ』って言えばいいんかな。要はキャストの女の子とお茶するお店ね。お金次第でアフターでホテルOKのやつ」 「え・・・?そ、それってその、風俗、ですか・・・?」 「いやいや、お茶するだけ。健全健全全然健全」 嘘だー!絶対その『お茶』ってアルコール含むやつじゃん!それで酔っぱらって雰囲気に流されて・・・みたいなお店だよぉ! 「あれ?でも女性専用って・・・男性のお客さんや男性スタッフさんはいないんですか?」 「うん。いや普通に考えてさ、見知らぬ男がいるところで無防備に酔えないっしょ」 それで言うならそもそもホテルOKとか言ってるお店で酔えないんですけど。 「それにおねーさん、一見小動物っぽいけど実はタチだよね?アタシはアレの時ネコだから何となく分かるんだー」 「た、タチ・・・?って、何ですか?あ、アイカさんがネコっていうのは、その、猫耳の飾りで何となく分かりますけど」 タチ・・・いたち、とか?猫といたちって何か関係あったっけ? 「あ~、無自覚タイプかなぁ。・・・やべ、いいかも。おねーさんさ、明日土曜だから休みだよね?ヒール代の代わりにアタシ奢るから飲んでってよ。アフターサービスもしたげるからさぁ・・・♡」 「えっ?えっ?えっ?」 「あーほら、お店見えて来たよ。一名様ご案内で~す」 何だかよく分からない内に、私はアイカさんにお店に連れ込まれてしまった。そしてこの一晩で、知らなかった世界を知ってしまった。この日以降「またアイカさんに会いに行きたいな」なんて思ってしまうくらいに楽しかった。 「週末飲む時はこのお店にしよう」 私はそう決めて、毎週の仕事に精を出した。以前より自信が付いたように見えるって上司も褒めてくれるようになった。仕事ってメリハリ大事だよね。 メリハリと言えば、女の子・・・特にアイカさんと『遊ぶ』時、私は別人みたいになる。アイカさんが言った通り、私は『タチ』でアイカさんは『ネコ』だったみたい。こんな事、会社の皆には言えないけど。

コメント (17)

thi

閨ごとでは立場が逆転するのは良いですね

2025年11月30日 00時24分

早渚 凪

二人だけの秘密って感じがして実にいいですよね

2025年11月30日 14時46分

T.J.
2025年11月29日 15時42分

早渚 凪

2025年11月29日 17時18分

へねっと
2025年11月29日 13時53分

早渚 凪

2025年11月29日 15時06分

さかいきしお
2025年11月29日 13時45分

早渚 凪

2025年11月29日 15時06分

白雀(White sparrow)

ほう…そっちの世界に目覚めましたか…アリですな

2025年11月29日 13時19分

早渚 凪

「普段は地味で真面目な振り回され体質のOLちゃんだけど、アレする時はぐいぐいリードして攻めになる『昼夜で攻守逆転』系」の主人公になっちまいました。 1つ年下のギャル・アイカに普段は振り回されてるけど、ベッドの上ではアイカがいくら鳴いても手を緩めてあげない潜在的Sです。単発ネタなので、主人公の名前は決めてません

2025年11月29日 15時06分

五月雨
2025年11月29日 13時16分

早渚 凪

2025年11月29日 15時04分

ねおぽんたす

レズ百合!! ? おねOL百合なのか?????!! サムネの褐色お姉さんの谷間に招かれた私の嗅覚に狂い無し!!!!!! 𝑺𝑼𝑲𝑰𝑫𝑨‎𖤐 続けてください🤪👮✌️

2025年11月29日 11時38分

早渚 凪

これの続き書くの!?マジ!?最終的にほぼR-18不可避になりますけど!!・・・まぁ、その内書けたら書きます。アイカが生成で安定しないからちょっと難易度高めですが・・・。 この話は【招き猫】から『招きネキ』というワードを連想してしまい、客引きする女の子を作ろうとして始まったんです。 で、客引きされる方はどんな人がいいかなって思った時によりにもよって『タチとネコ』というワードが浮かんだ。もうこの時点でレズ百合系確定でした。 そこから主人公の女性のキャラクター像を煮詰めて行って「普段は地味で真面目なOLちゃんだけど、アレする時はぐいぐいリードして攻めになる『昼夜で攻守逆転』系」に決まったわけです。 1つ年下のギャル・アイカに普段は振り回されてるけど、ベッドの上ではアイカがいくら鳴いても手を緩めてあげない。そんな主人公になりました。 なのでアイカは主人公から見た時、厳密には招き『ネキ』ではないけど、全体から見たら些細な事だろうと雑に判断してGOしましたw

2025年11月29日 15時04分

サントリナ
2025年11月29日 04時33分

早渚 凪

2025年11月29日 14時52分

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2024年7月よりAIイラスト生成を始めた初心者です。 基本はオリジナルキャラで、まれに二次創作作品を投稿します。オリジナルキャラに関しては、エロ系・グロ系含み完全コラボフリーですので気軽に連れて行ってください。 年齢区分は全年齢~R-15を中心に投稿します。R-18作品もたまに投稿しますが、現在はサイト内生成のみでイラスト生成を行っていますので、規約違反を含むR-18作品(性器描写等)は投稿できません。 ストーリー性重視派のため、キャプションが偏執的かと思いますがご容赦願います。

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