今日、少女は“伝説”と出会った/スマホ壁紙アーカイブ
【今日、少女は“伝説”と出会った】 少女が足を踏み入れたのは、地図にも記されない森だった。 赤い空は夕焼けではなく、森そのものが吐き出す古い魔力の色だと、あとで知ることになる。 足元の小さな石が転がり、静寂が途切れた。 その瞬間、森は呼吸を止め、影が形を帯びた。 現れたのは—物語の中でしか語られないはずの存在。 大地の主、迷い人を試す者、そして古い時代から森を守り続ける獣。 少女は逃げなかった。 理由は、恐怖より先に“確信”が胸を満たしたからだ。 ああ、この出会いは恐れるべきものじゃない。 これは、ずっと待たれていた瞬間なのだ。 獣は牙を見せたが、それは威嚇ではない。 どこか悲しげで、長い孤独を抱えているようだった。 少女はそっと手を伸ばした。 伝説の外套をまとった巨影が、微かにその頭を垂れる。 こうして物語は始まった。 “恐怖”ではなく、“選択”としての出会いから。 少女はまだ知らない。 森が、この瞬間を何世紀も待っていたことを。
