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閃光のミラージュ【蒼の聖夜(ブルー・クリスマス)】
窓辺に降る淡い光が、部屋をやさしく満たしていた。 劉妃は青いサンタクロースの衣装に身を包み、ソファに腰掛けている。 白いファーの感触と、胸元で揺れる青いリボン。 それは“任務”のための衣装ではなく、ただ大切な人を迎えるための装いだった。 外は静かな冬の夜。 ツリーの灯りが小さく瞬き、プレゼントが足元で眠っている。 彼女は指先を顎に添え、ドアの向こうを思い描いた。 エリックが帰ってくる、その瞬間の音まで想像しながら。 この世界では、争いは遠く、銃声も暗号もない。 あるのは、約束の時間と、少しだけの緊張、そして胸の奥に芽生える温かな期待。 驚かせようと選んだ青は、彼女にとって“平和”の色だった。 時計の針が進むたび、鼓動がひとつ、またひとつ。 「早く帰ってきて」 声に出さず、灯りに願いを託す。 やがて扉が開く、その瞬間を待ちながら―― 劉妃は微笑む。 これは、彼女がエリックと結ばれていた、穏やかな世界の一場面。 蒼い聖夜は、今も静かに、幸せの音を運んでいた。
