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閃光のミラージュ【テディベアに預ける、あなたへの想い】
柔らかな月明かりが、カーテン越しに寝室を満たしている。 その光の中で、劉妃はそっとテディベアを胸元へ抱き寄せた。 ――エリックが「一人の夜が寂しくないように」と 照れながら贈ってくれた、大切なぬいぐるみ。 彼女はそれを抱いた瞬間、 まるでエリックの温度がそこにあるように感じられて、 自然と表情が緩んでしまう。 「……エリック、まだ帰ってこないのね。」 そう呟いた声は少しだけ寂しげで、 しかしその目元には彼を想う優しさが滲んでいた。 どんなに強く、どんなに戦える彼女でも―― 平和な世界ではただの“恋する女の子”。 エリックがいない夜は、 彼を想う気持ちが胸の奥でふくらみ、少しだけ涙がにじむ。 だからこそ、 彼がくれたテディベアは、 劉妃の“お守り”であり、“寂しさを紛らわす相棒”。 腕にぎゅっと抱きしめると、 その柔らかさに安心して心がゆるむ。 「……エリックが帰ってきたら、一番にぎゅってしてもらうんだから。」 そう言って微笑んだ劉妃は、 ベッドに体を預け、そっとテディベアを抱いたまま横になる。 寝る時は必ず抱きしめて眠る―― それは彼女がエリックに会えない夜を過ごすための、 小さな、でもとても大切な習慣だった。 月明かりの下、 テディベアに頬を寄せる劉妃の姿はどこか幼く、 そして愛おしいほどに幸せそうだった。
