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【低身長】妖精の子供を保護した話
ある日、近所の森で妖精族の少女を見つけた。僕の手のひらに乗るくらい小さいタイプの妖精なのかと思ったけど、どうやら違うみたい。 「ヤダ・・・ヤメテ、ハナシテ・・・!」 人間の言葉がたどたどしいから生まれて間もないのだと分かった。しかもまだ手足や羽を自由に動かすことが出来ないくらいの幼さ。 「近くに親もいないみたいだし・・・これは保護しないと!魔物とかに襲われても可哀想だからね、仕方ないね」 「イヤッ、イヤァァァ!」 手の上でささやかに抵抗する彼女。本人としては手足を振り回して暴れているつもりなのだろうけど、全く意味を為さない。 「ええと、このサイズの妖精のお世話って何が要るんだろ?乳幼児向けのスプーンとかでも大きいだろうから、耳かきとかでご飯あげようかな。あとは綿棒とか割りばしとかセロテープとか・・・」 「ヒッ!?ヤダ・・・コワイヨォ・・・ダレカッ、タスケテェ・・・!タスケテェ、ヤダァァァァーッ!」 なおも叫ぶ彼女。でも体格が小さいから、声も小さい。その声は誰にも届かない。僕は泣き喚く彼女を自分の家に連れ帰った。 あれから二十年が過ぎ、50代になった僕。隣にはあの時拾った彼女がいる。体も大きくなり、言葉も覚えて普通に生活できるようになったのに僕の家を出て行こうとしない。 「おはようございます、あなた。朝ご飯できてますよ」 「いつもありがとう」 彼女には僕なんかから早く離れて、自分の幸せを見つけて欲しいと思っているのだけど。助けてあげた恩返しなんてとっくに十分すぎるくらい返してもらってるのに。 「それと、綿棒のストックがもう無いので新しいのを買って欲しいです」 「・・・この間買ったばかりだと思ったのに。減りが早いけど、何にそんなに使ってるの?」 「えっ・・・な、ナイショです///」
