シリーズ・ミニアリウム[1]/スマホ壁紙アーカイブ
※ミニアリウムとは、日常のモノの中に閉じ込められた小さな世界を指す造語です。 【銀色の塔の下で暮らす者たち】 朝になると、 天から川のように水が落ちてくる。 それは私たちの入り江に波を呼び、 港の船を優しく揺らす。 村の古老は、 あの銀色の塔が潮と風を支配しているのだと言う。 水が流れる日は、 魚も豊かに入り江へ戻り、海藻が青くきらめく。 子どもたちは波打ち際で石を拾い、 灯台守は白い壁を磨きながら空を見上げる。 時折、巨大な影が空を横切る── あれは外の世界の「巨人」だと皆は囁く。 水が止まると、海は眠り、風も止む。 その静けさの中で 私たちはまた次の潮が来るのを待つのだった。
