星のカーテンをくぐって/スマホ壁紙アーカイブ
【星のカーテンをくぐって】 坂道を下るたび、風が肩の布を翻し、 胸の奥にたまっていた重さがひとつずつほどけていく。 街灯が並ぶ道の先、雲が裂け、夜空が静かに開いた。 そこにはまるで、星が縦に垂れ下がった光の幕 ——宇宙の奥へ続く回廊のような景色が広がっていた。 ペダルを踏む速度を少し上げると、星々は流れ、 一本の鋭い光線がまっすぐ道を照らすかのように落ちてゆく。 まるで自分だけのために用意された合図のようだった。 この道を抜ければ、何かが変わる。 そんな根拠のない予感が、風より先に心を駆け抜けた。 少女は目を細めて笑った。 空のカーテンが揺れ、彼女はそのすき間へと静かに走り込んでいった。
