光と雪が降る駅で/スマホ壁紙アーカイブ
【光と雪が降る駅で】 光に照らされた雪が、静かに舞い降りる。 その一粒一粒が、まるで彼女の想いを運んでいるように柔らかく揺れていた。 彼女は両手を胸もとで重ね、そっと息を吹きかける。 白くほどけたその息が、灯りの中で小さな願いのように浮かび上がった。 今夜、ふたりは再び出会うはずだった。 けれど列車の気配はなく、時間だけが雪のように降り積もっていく。 それでも不思議と、心は凍えなかった。 彼がこの同じ冬空の下で、自分のことを思い出している── そんな確信が、灯りよりも強く彼女を照らしていたから。 光と雪が降る駅で、彼女は静かに胸の内でつぶやく。 「早く会いたいな」 その言葉は小さくても、冬の空気をあたためるには十分だった。
