黄昏が私を呼んでいる/スマホ壁紙アーカイブ
【黄昏が私を呼んでいる】 足元の岩が小さく鳴った。 振り返る理由は、もうどこにも残っていなかった。 茜色の空は、今日もゆっくりと崩れ落ちていく。 けれど、その破片のひとつひとつが、なぜだか私の背中を押すように温かい。 風がコートを大きくはためかせるたび、胸の奥にしまっていた言葉が外へ出ようともがいた。 あの日言えなかったこと。 あの日進めなかった一歩。 それらが、黄昏の光に照らされて形を持ちはじめる。 ──来い、と誰かが呼んだ気がした。 でもその声は誰でもなく、たぶん私の中の「未来」だった。 少女は空を見上げる。 崩れゆく世界の中で、ひとつだけ確かなことがある。 黄昏は終わりではなく、始まりの色だということ。 そして私は、ようやくその呼び声に応える準備ができた。
