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【スープマグ】ゲーム友達とのひととき

「・・・あっ、もしかして『ガンマ』君ですか?」 「あっ、は、はい!『はねつきはづちゃん』さんですよね、初めまして」 私が専業主婦としての生活の中で趣味としてちょこちょこプレイしてるオンラインゲーム『サイバーシティ・クライシス(通称CCC)』で、同じ地区に住んでいる男の子『ガンマ』君と出会ったのは数か月前。「マッチングした人と二人一組で脱出ゲームに挑戦してクリアを目指す」ってイベントで、人となりを知るためにお天気の話をしてたら、私とガンマ君の『今日の天気』がぴったり同じだったので住んでる場所が近いって分かった形。 それからも時々ゲーム内で一緒に遊んでいたのだけれど、ガンマ君がちょっと悩み事があるって言うのでせっかくだから直接会う事にした。私も現役高校生と話して、ちょっとは飛鳥ちゃんとの会話についていけるようにしないとなぁって下心もあるし。 「はぁい、私が『はねつきはづちゃん』・・・これ、リアルで名乗るのちょっと照れちゃうね。改めて、獅子島羽月です」 「赤羽眼馬(あかばね がんま)っす、今日はよろしくお願いします」 あっ、ガンマ君って本名なのね。本名をアバター名にしてるなんて、やっぱりあんまりオンラインゲーム慣れしてない子なのかな。挨拶をすませた私は、ガンマ君が飲んでるスープと同じものを注文した。 「それでガンマ君、ちょっとした悩みってなぁに?」 「あっ、はい。ええと・・・女の子にプレゼントしたいものがあるんですけど、渡すタイミングを逃しちゃってて・・・」 詳しく聞いてみると、秋ごろに洋服屋さんでその子に似合いそうな服を買ったのはいいものの、どうやって渡せばいいのか悩んでいるみたい。その女の子が誕生日とかでもないみたいだし、糸口がつかめないそうなの。 「その女の子とは、普段から仲良しってわけじゃないのね?」 「はい、会えば笑顔で挨拶してくれるし、時々スマホでやり取りもしますけど・・・毎日のように会うとかではないっすね」 「ああ、それなら結構ハードルは低そうだね。いい、ガンマ君?そこまで仲良くないかなーって相手に贈り物として服を渡すのって、中々難しいの。ガンマ君も、よく知らない女子から服をプレゼントされてもちょっと戸惑っちゃうよね?」 「そう、っすね。いつ着たらいいのか分かんないっす」 「だから基本的にプライベートな仲じゃない相手への贈り物って消え物・・・お菓子とかが無難なの。でもお話を聞く限り、相手の女の子とは良好な仲みたいだから、服をプレゼントしても『困ったなぁ』って反応にはならないと思うの」 「い、いやでもなんかやっぱ、重いっすよね、服のプレゼントなんて」 「お菓子とかに比べればね。でも、ガンマ君がその子に『似合いそうだな、着て欲しいな』って思って選んだ服なんでしょ?ふざけて選んだデザインじゃないんだよね?」 「それはもちろん!」 「だったら大丈夫だよ。ガンマ君のまっすぐな気持ちがこもったプレゼントだもの。それとも、相手の女の子はそんなプレゼントを『いらない』って突っ返したり、雑に扱ったりするような子なの?」 「そ、そんな事はないと思います。そんなひどい事する子じゃないです」 「じゃあ大丈夫。きっと受け取ってもらえるわ。タイミングとしては、クリスマスプレゼントとして渡すのが丁度いいかも。秋服でも、アミューズメント施設みたいなちゃんと暖房が利いてるところならコート下に着てても寒くないから、デートに着て来てくれたりして?」 デート、と口にしたらガンマ君の頬が少し赤くなった。初々しいなぁ。学生時代の私も、熊吾君と一緒にお出かけする時にはいつも舞い上がっていたっけ。 「とにかく、渡さないのは良くないよ。お金が無駄って事もあるけど、せっかくのガンマ君の気持ちをなかった事にしちゃうのと同じだから。その服を買った時の気持ちを思い出して欲しいの。その時の自分を否定するような、悲しい選択はしないで欲しい・・・って、私は思うかなぁ」 「・・・ありがとうございました、獅子島さん!俺、渡してみようと思います!」 良かった、ちゃんと背中を押してあげられたみたい。私は一安心した。 その後は、ガンマ君の高校で今ブームになっているものとか、そういう雑談をいっぱいした。充実して家に帰った私は、寝る前の余暇の時間で遠方の友達に電話をかけていた。この友達『クロちゃん』も、ゲームで出会ったフレンド。歳も近いし、何だかシンパシーがあって話しやすい。私はさっそく今日のガンマ君との事を話した。 「・・・という事があったの。ガンマ君、うまく行くといいなぁ♪」 「そうね。てかはづちゃん、あんま人妻が男子高校生と二人っきりで会わんほうがいいよ。旦那さんに誤解されたらどうすんの。確か結構独占欲強くて、いったんスイッチ入るとヤバいらしいじゃん、“マーキング”が」 「ああ~・・・さ、流石に学生時代より落ち着いてるから大丈夫だよ、クロちゃん」 学生時代、私が他の男子にナンパされたりするとその日は一晩中離してくれなかったりしたからなぁ。クロちゃんの心配も無理ないかも。 「だといいけどね。しかしまぁ、はづちゃんやっぱ向いてるんじゃない、お悩み相談。いっそバーチャル配信者になってさぁ、お悩みマロに回答してく動画あげたら結構伸びるんじゃない?声も優しくてめっちゃ癒されるし」 「さすがにそこまで時間ないかなぁ・・・」 クロちゃんは、元々バーチャル配信者だったらしい。その時の名前は教えてくれないけど、個人勢ながらに中々登録者がいたみたいだ。今は作家としての仕事をやってて、配信は引退しちゃったみたいだけど。 「ま、無理にとは言わんけど。それとさ、はづちゃん今度CCC付き合ってよ。最近、ネオン・ハイウェイにミュートがよく来てるらしいんだよね。バイクレース申し込んでみようかと思ってさ、はづちゃんも一緒に走らん?」 「えっ、ミュートってあのレコード保持者の?・・・勝てる気がしないんだけど」 「いいじゃん、最速を間近で目撃できるよ。せっかく色々できるゲームなんだし、楽しそうな事はやってみたもんが勝ちでしょ」 「そうだよね・・・負けても何か損するわけじゃないし、行くだけ行ってみようかな」 ・・・こんな風に、私の毎日は大切な家族と友達に彩られている。恵まれた人生って言えると思う。飛鳥ちゃんにも、たくさんの出会いを大切にして欲しいなぁ。

コメント (12)

mooooooooo1230
2025年12月12日 15時26分

早渚 凪

2025年12月13日 15時21分

五月雨
2025年12月12日 13時56分

早渚 凪

2025年12月12日 14時45分

thi

羽月さんのお話はいつもほんわかしています

2025年12月12日 13時09分

早渚 凪

本人が癒し空間を振りまいているので、羽月を振り回せるくらいパワフルなキャラでないとドタバタ劇にできないでしょうね

2025年12月12日 14時45分

へねっと
2025年12月12日 11時59分

早渚 凪

2025年12月12日 14時44分

T.J.
2025年12月12日 08時44分

早渚 凪

2025年12月12日 14時44分

サントリナ
2025年12月12日 04時31分

早渚 凪

2025年12月12日 14時44分

白雀(White sparrow)

妹さんも大人っぽくなったなぁ。

2025年12月12日 03時40分

早渚 凪

髪は兄にならってポニーテールにまとめており、向日葵に教えてもらったオシャレでストールを使うようになりました。胸が育っているのは、インドアスタイルで体脂肪率アップしたのと某エロカメラマンにちょいちょい揉まれたりしてたからです。

2025年12月12日 14時44分

gepaltz13
2025年12月12日 03時19分

早渚 凪

2025年12月12日 14時40分

127

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2024年7月よりAIイラスト生成を始めた初心者です。 基本はオリジナルキャラで、まれに二次創作作品を投稿します。オリジナルキャラに関しては、エロ系・グロ系含み完全コラボフリーですので気軽に連れて行ってください。 年齢区分は全年齢~R-15を中心に投稿します。R-18作品もたまに投稿しますが、現在はサイト内生成のみでイラスト生成を行っていますので、規約違反を含むR-18作品(性器描写等)は投稿できません。 ストーリー性重視派のため、キャプションが偏執的かと思いますがご容赦願います。

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