ミリシラ様の異世界百景その29「トラン転車台跡」
地球の皆の者、こんクエスト~!全知全能の大賢者「ミリシラ・シッタカブール」じゃぞ! 今日紹介するスポットは「トラン転車台跡」じゃな。まぁ見ての通り、蒸気機関車の列車に関連するものじゃわい。 王都の存在するこの大陸は、かつて・・・と言っても魔物や魔法が生まれる前じゃが、その頃は広い鉄道網が敷かれておった。大陸全体が広いから、自家用車や徒歩で長距離移動は非現実的じゃったからのぅ。 出勤のような日常の移動や旅行などの長距離移動、他にも物流なども鉄道がメインで行われており、鉄道関連の設備もそれに伴って多かった。ここもその一つじゃった。元々は立派な駅や車両倉庫があったと推察されておるんじゃが、今や単なる原っぱになってしまっており、かつての面影を残すのはこの転車台のみとなっておる。 というのも、魔物がこの世界に出現し始めた時に、この地域には比較的知能の高いやつが現れた。「人間をまとめて始末したり、避難場所を消すために建造物を狙う」という思考があったらしく、逃げ惑う人間たちを直接攻撃するよりも建造物そのものの破壊を優先したらしい。それで車両倉庫やら駅は跡形もなく破壊され、もはや『町』として維持する事は出来ないレベルで建物がなくなってしもうた。そうして建造物がなくなった頃にはもう人間はこの辺りからすっかり逃げており、しかも魔物が徘徊する事をやめなかったので人間側も「もうこの土地には住めない」と見切りをつけたそうじゃ。 そして時代が過ぎ、魔物に立ち向かえる冒険者が育ってきてこの地の魔物も討伐された後で再興計画も持ち上がったんじゃが、予算がつかず断念された。ただ、有志が集まって「ここに町があった事は歴史から消していいものではない」として、平坦なものだったゆえに破壊されなかったこの転車台を「かつて町があった証拠」として記念碑的に維持しておる。 現在は旧鉄道を利用して新造された大陸鉄道の路線の一部として組み込まれており、列車が通る事もある。その気になれば転車台を回転させる事もできるかも知れんが、鉄道事故になるので基本的には動かせないようにしてあるようじゃ。まぁ動かしたところで、今繋がっている線路以外の線路がもう無いからメリットは何もないんじゃけどな。 ちなみにここは過去の世界の遺物のひとつとして残されておる場所じゃが、観光地として近くに町ができていたりはせん。シンプルに現在も使われている線路の一部じゃから人が集まると危ないとか、時々魔物が出現するのでさほど安全ではないというのもある。あとは元々は列車倉庫が作られるような立地じゃったから、あまり交通の要所というわけでもなく交易上の立地条件は悪いから町が作られても生活に不便さがあるしのぅ。せいぜい鉄道オタクが見に来るくらいのマイナーなスポットじゃな。なんかこう、もっと派手なスポットを紹介したいとこじゃな。ちょっと考えておくか。 では今日はここまで。見てくれてありがとうなのじゃ、おつカブール~!
