傘と夕焼けと夏の記憶/スマホ壁紙アーカイブ
【傘と夕焼けと夏の記憶】 濡れたアスファルトに映る夕焼けは、 まるで別の世界への入り口だった。 僕は赤い傘を握りしめながら、 その鏡のような地面に足を踏み出したい衝動を必死で抑えていた。 三人で並んだ帰り道。 誰が何を話していたかは思い出せない。 でも、傘に当たる雨の音と、 遠くで響いていた蝉の声だけは、なぜかはっきり覚えている。 ひまわりたちは、いつも通り空を見上げていた。 でも僕には、その花たちが「さよなら」と囁いているように見えた。 時々夢に見る。あの夏の夕暮れ。 同じ空の色を探しても、どこにもない。 だから僕は今でも雨が降るたび、 傘越しに空を見上げてしまうんだ。
