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ゲームから訓練場へ!「モノクロ・心眼」の顛末

午後の課業が始まる前の短い休み時間。対カオス分室の一室には、キーボードを叩く激しい音と、轟少尉の興奮した声が響いていた。 「見よ!この**『心眼モード』を!敵の動きが、私にはスローモーション**に見えるのです!」 轟少尉は、モニターに映るFPSゲーム画面に向かって叫んでいた。 画面が白黒になり、敵の動きがスローモーションになる。自分だけ高速で動ける演出だ。 「轟少尉。休憩時間は終了した。午後の課業を開始する。訓練場へ向かえ」 リゼット少佐からの冷徹な通信が響き渡った。 轟少尉は、素早くヘッドホンを外し、椅子から立ち上がった。 その手には、どこから持ち出したのか、虫の顔のような巨大なゼロ世代暗視ゴーグルが握られている。 「はっ!承知いたしました、少佐!では、午後の課業、**『心眼モード』**で参ります!」 格闘訓練場。 轟少尉は、過去の遺物の暗視(赤外線)ゴーグルを装着したまま、訓練場の中心に立った。レンズからは、彼女の**「思い込み」**が具現化したかのように、赤く光る残像が伸びている(気がした)。 「見よ軍曹!これが我が秘奥義――ハイスピードモード発動です!!」 轟少尉は、黒い軍服にミニプリーツスカートのまま、背中を反らせて体をS字に描くような、**スタイリッシュな「ヨヨ立ち」**を決めた。人差し指を富士見軍曹に向け、口を大きく開く。 「ドゥオン!!」 口で効果音を叫ぶ轟少尉。 富士見軍曹は、轟少尉の奇行を数瞬見つめた。 「……、ハッ!!」 的確な前蹴りが、轟少尉のゴーグルの横の死角へと、音もなく突き刺さった。 ――ドスッ!! 「あいたっ!? 今のは神速の……!? どこから攻撃したのであるか!」 轟少尉は、完璧に決まっていた「ヨヨ立ち」のポーズを崩し、体をよろめかせた。 富士見軍曹は、蹴りを引き戻しながら、簡潔に指導した。 「轟少尉。正面ですよ。そして、少尉の**『心眼モード』は視界を狭めるだけです。しかも真昼間に暗視なんて・・・・・・。実戦的な論理がない。すぐに外してください」 轟少尉は、ただただ呆然と立ち尽くした。 「むぅ……このモード、身体能力は向上しないのでありますか……」 富士見軍曹は深くため息をついた。 「ですから、白黒になるだけ。ゲームと現実を混同するのは、非合理的です。外してください」 轟少尉の**「心意気」は、富士見軍曹の「冷静な論理と、容赦のない実力」**という名の現実に、今日も完敗を喫したのだった。

さかいきしお

コメント (26)

999fun
2025年11月30日 11時33分
Ken@Novel_ai
2025年11月30日 02時12分
T.J.
2025年11月29日 15時26分
へねっと
2025年11月29日 13時59分
ガボドゲ
2025年11月29日 13時46分
仮免許練習中
2025年11月29日 12時49分
翡翠よろず
2025年11月29日 10時55分
CherryBlossom
2025年11月29日 08時40分

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