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額縁の中の、帰れない場所【天城瑠奈・霧島紗耶】
その写真は、今も部屋の片隅に飾られている。 高校生だった頃、学校の裏庭で、紗耶と二人で撮った一枚。 制服のまま、何も考えずに笑っていた。 未来のことも、選択の重さも、まだ知らなかった頃。 カメラの向こうには、ただの「明日」があった。 夜が更けるたび、瑠奈はその写真に視線を向ける。 ここから抜け出したい………。 そう思う気持ちは、何度も胸に浮かぶ。 けれど、踏み出せない。 心に沈んだモヤモヤが消えない限り、深い闇は、出口を教えてくれないから。 写真の中の自分は、 今の瑠奈を知らない。 それでも彼女は、今日もその一枚を、そっと元の場所に戻す。
