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閃光のミラージュ 番外編【灯りの街で、手をつないで】
無数の赤い提灯が夜空を彩り、 中華街はいつもより少しだけ、やさしい顔をしていた。 人波の中、劉妃はそっと恋人――エリックの腕に寄り添う。 湯気の立つ肉まんを両手で包み、白い息を弾ませながら微笑んだ。 「熱いよ、気をつけて」 彼の低い声に、劉妃は楽しそうに頷く。 戦いも使命も存在しない、ただ“平和”だけが流れる世界。 屋台の明かりが二人の影を照らし、香辛料と甘い菓子の匂いが夜風に混じる。 肩が触れるたび、指先が絡むたび、それだけで胸が少しあたたかくなる。 エリックは周囲を警戒する癖もなく、ただ穏やかな表情で歩いている。 劉妃にとって、その横顔は何よりも尊い。 ――もし、この時間が永遠に続くなら。 そんな願いを胸に秘めながら、劉妃はもう一度、彼の腕に抱きついた。 提灯の灯りが二人を包み込み、笑い声が夜の街に溶けていく。 これは、戦う者ではない劉妃の物語。 青龍の力も、宿命もいらない―― ただ、恋人と過ごす平和な夜の一
