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閃光のミラージュ 超番外編【最後の肉まんは、どちらの手に………!?】
夜の中華街。 赤い提灯に照らされた老舗の中華料理店は、賑わいの余韻を残したまま、静かな熱気に包まれていた。 円卓の中央―― 白い皿の上に、最後の一つの肉まん。 それを挟んで向かい合うのは、翠の気配を纏う翠蓮と、鋭い眼差しを宿す紫苑。 二人は同時に肉まんを口に咥え、一歩ずつ距離を取る。 拳は構え、掌は開き、まるで武術の型のように、自然と美しい間合いが生まれた。 「譲る気はないわね」 「……最初から、そのつもりはない」 言葉は少ない。 だが視線が交差した瞬間、空気が張り詰め、音すら遠のく。 食事の席であることなど、もはや関係ない。 ここは戦場。 勝者のみが、あの肉まんを手にする。 卓の周囲では、湯気の立つ料理が静かに冷めていく。 提灯の灯りが二人の影を揺らし、次の瞬間を待ち構えていた。 ――拳か、掌か、それとも一瞬の隙か。 こうして始まるのは、誰にも止められない、中華街史上もっとも平和で、もっとも本気な戦い。 最後の肉まんは、果たして、どちらのものになるのか………。
