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【ハロウィン】カボチャかぶりのエラ
『シンデレラ』をベースに作ったお話ですが、全文を投稿するにはまるで準備が足りないので、コンセプトアート形式でお出しします。 ちなみに主人公の名前ですが、シンデレラの時点で「シンデレラとはシンダーエラ(灰かぶりのエラ)の事で『エラ』が正しいとする説」と「シンデレラは『シンデレラ』が本名そのままであり『エラ』が本名ではない説」があり、この作品では『エラ』が本名であるという説を採用しています。 ≪あらすじ≫ 継母とその連れ子の姉二人によって、家庭内の家事や雑用を押し付けられ、少しのミスも手ひどく罵られるという悪待遇の生活をする少女『エラ』。 エラは朝早くから水汲みや畑の手入れ、家屋の掃除や薪集めなどに追われており、手荒れはひどく髪も乱れがちな外見。 女の子らしく着飾ったり化粧したりなどは許されず、趣味の時間すらなく働きづめ、一日の終わりには疲れて泥のように眠る毎日だった。 秋も深まるある時、王城で舞踏会が開かれ王子も出席するという話が広まり、継母は姉二人のどちらかを王子に見初めさせ、妃にしてしまおうと目論む。 姉二人や自身を豪奢なドレスで美しく飾り立て、舞踏会に出かけて行く継母。当然、エラは留守番である。 エラ自身も自分の外見の汚さや、家族からの暴言で喪失した自信などの要因で舞踏会に行こうとも思っていなかった。 ところがエラの前に赤髪の魔女が現れ、「君のような貴族のしがらみとは無縁な女性にあの王子を射止めて欲しいんだがねェ」と依頼する。 ドレスも持っていないからと断るエラだったが、魔女はどこか邪悪な笑みを浮かべると魔法の杖を振り乱して準備を整えて行く。 『畑のカボチャを馬車に変える』・『家にいたGを巨大化させた後で馬に変身させる』・『エラのズタボロの普段着を美しいドレスに変え、肌も髪も美しくする』など、後に引けない状況になっていく。 「午前零時には魔法の効果が切れて、元通りになってしまうぞ。社会的に死にたくなければそれまでにはトンズラする事だねェ」 こうして半ば無理矢理に舞踏会に送り込まれることになったエラ。しかし出発直前、ある事に気付いた。 「このまま舞踏会に行けば、お義母様やお義姉様たちにエンカウントしてしまうわ。きっと髪やドレスを台無しにされて追い出されてしまう」 その言葉を聞いた魔女だったが、あいにく魔力はさっきまでの乱用で空っぽ。しかし魔女はある物に目を留めた。 「ああ、丁度いい物があるじゃあないか。君が手塩にかけたこいつに役立ってもらおう」 【1枚目】 魔女が手作業でくり抜いたカボチャを頭に被せられ、素顔を隠した状態で舞踏会に乗り込んだエラ。 当然周囲の貴族やその従者、城の衛兵たちも何事かと彼女に大注目する。王子とて例外ではなく、一瞬でこのカボチャ娘に目を奪われていた。 髪や肌がどうとかドレスがどうとか以前の問題だったが、とりあえず抜群のインパクトは残す事が出来た。継母たちも正体に気付いていない。 ここから彼女のシンデレラストーリーが始まるのだった。 【2枚目】 突如現れたカボチャかぶり。当然ながら誰も彼女をダンスに誘おうとはしない。だが主催たる王子は流石に無視するわけにもいかず、エラをダンスに誘うのだった。 カボチャのせいで視界が悪く、さらには心得もない社交ダンスをぶっつけ本番でやる羽目になったエラだったが、ここで二つの幸運が。 一つは、王子がダンス巧者でありエラを完璧にリードしてくれたこと。もう一つは、「水汲みや掃除中に転ぶと折檻される」という家庭環境から身に付いたエラ自身の恐るべき体幹の強さ。 この二つがあって、視界が悪い状況でもエラは(傍目には)素晴らしいダンスを披露した。本人には自覚は無かったが。 【3枚目】 無情にも魔法の時間切れが迫る。王子に別れを告げ、城から急ぎ脱出を図ったエラだったが、肝心の王子が追いかけて来てしまった。 「そなたの素晴らしいダンス、さぞや名のある姫とお見受けした。今宵限りの縁にはしたくない。どうかその被り物を外し、麗しの素顔を見せてはくれまいか」 しかし間もなくノーメイク状態になってしまうエラは、「醜いものを見せたくないのです」と王子の言葉を拒否して階段を駆け下りていってしまう。 諦めきれない王子はエラの後を追いかけ、階段の下で彼女に追いつき「醜いものか」と言いながら肩に手を掛けた。しかしこれが良くなかった。 捕まった、と思ったエラ。自分に興味を持ってくれている王子に対して魔法が解けた姿を晒し、がっかりされるという事を恐れた彼女は暴挙に出る。 被っていたカボチャを外し、振り向きざまに王子の頭に叩きつけたのだった。脳が揺れ、まともにエラの素顔を見れないまま倒れる王子。 やっちまった、と我に返ったエラは、咄嗟にカボチャを王子の頭に被せてその場を逃げ去るのだった。 「そなたは美しい・・・」 うわごとのように王子は呟き、意識を手放した。ちなみに後日、王子はこのカボチャについていた残り香からエラを見つけ出す事になる。 ・・・と、要するにキーアイテムが「ガラスの靴」から「ジャック・オー・ランタン」になったハロウィン版シンデレラです。
