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【牛】性別反転呪い人形『あべこべこ』
えっちゃんの頭の上に乗っているのは、彼(または彼女)のお気に入り発明品の一つ『あべこべこ』。えっちゃんの改造する魔道具は『その道具が持つ性質を拡大解釈する』ものでしたが、これは応用編です。 牛の人形がベースの発明品ですが、人形を『使う』というのは遊び以外だと基本的に呪術関係が主になりますよね。ただ、呪うのを拡大解釈するとしても範囲が広すぎて効果が絞れません。そこで、普通の呪術人形が呪いたい人物の髪などの呪いの媒介となるものを入れて呪いの向かう方を定めるのと同じように、この『あべこべこ』にも呪いの方向性を決めるためのアイテムを添付してあります。 そのアイテムとは、『あまのじゃくじゃく』という魔物の尾羽。孔雀の姿をしたこの魔物は非常に貧弱なステータスの生き物なのですが、尾羽に呪いの力があり「不思議な腰つきの踊りを踊って、敵にステータス上下反転効果を与える」という行動をします。この行動で反転するのは筋力などの素の身体能力のみならず装備品の能力変化も加味されるので、この技を喰らうと伝説の剣は葉っぱ一枚切れない切れ味になり、鉄壁の鎧は薄紙より脆くなってしまうのです。鍛えた肉体ほど無力と化すこの呪いによって強大な外敵を弱体化させ、その間に逃げたり仲間と一緒に袋叩きにしたりする生態を持ちます。 えっちゃんは近所の森に住むこの魔物に目を付け、一糸纏わぬすっぽんぽんで討伐に出かけました。当然、裸の魔法使いなんて素の身体能力もたかが知れているので、あまのじゃくじゃくの呪いダンスもほぼ無意味。見た目的にも能力的にも『無敵の人』と化したえっちゃんはあまのじゃくじゃくの尾羽を難なくむしり取ってほくほく顔で棲み処に帰ったのでした。 そして呪いの尾羽を仕込んだ牛人形は、「反転の呪いを宿した人形」になったのです。これを魔道具へと改造し、『あべこべこ』が完成しました。その効果は「この人形を頭に乗せ、肘から先を地面と水平にし、膝を軽く曲げて中腰の姿勢になって、肘から先と腰を左右に振りながらリズミカルに『ダンジョダンダンジョダンジョ』と唱えると性別を反転させられる」というもの。えっちゃんの作る魔道具の中には、男にしか効果の無いものや女にしか使えないもの、男女で効能が異なるものなども多いのです。それゆえ、全てを自分の体で試せるように性別をいじくる魔道具を作ったという訳です。 『あべこべこ』を使って、えっちゃんは少年になったり少女になったり、踊りを中途半端に中断して中間の性別になったりできるようになりました。最近は「小の方のトイレが簡単&睾丸が邪魔にならない」という理由で、『女性器の上部から陰茎が生えている』スタイルがお気に入りだとか。もちろん、気分や目的次第ですぐにえっちゃんの性別は変わるのですが・・・。
