thumbnailthumbnail-0thumbnail-1thumbnail-2

1 / 3

聖光の一撃 ~さようなら、グラヴィオ卿~

漆黒の月が昇る森の神殿。 荘厳な沈黙を破ったのは、バラの香りと共に現れた一人の男だった。 「……ふつくしい」 銀髪の修道女――リリスの前に、マントを翻して立つ男。 その名は、グラヴィオ・ダンピリオ・ヴェル・ラ=ナイトシュタイン卿(自称)。 月明かりに照らされたその顔には、不気味なまでの白さと、キラリと光る八重歯。 「リリス嬢、貴女の美貌は夜の薔薇。どうかこのグラヴィオの伴侶となり、永遠の夜をともに――」 「……」 リリスは一言も返さなかった。ただ、手元にそっと力を込めた。 「我がファラリア神の神託が下ったぜ」 その声は、氷のように冷たく。 「“その男、気に入らん”と」 リリスの掌が輝きを帯びる。 淡く、神秘的な、そして恐るべき聖なる光。 「はっ、なにを……おやめなさ――」 「ホーリーライト。」 彼女の掌から、天の雷のような閃光が走った。 「あっ、あああっ!? 目がっ! 目がああああああああっ!」 顔を押さえ、もんどり打つ吸血鬼。 その肉体は、光に焼かれ、崩れていく。 高貴を装った男の最期は、砂糖菓子のように、呆気なく崩壊した。 「……闇に還れ、ナイトシュタイン卿(仮名)」 リリスは、鼻を鳴らした。 その瞳は、まるで汚物でも見るかのような軽蔑に満ちていた。 背後で呆れたように茶髪を揺らすのは、狐耳の盗賊巫女・ダキニラ。 「うへぇ……さすがリリス。言い寄るヤツには容赦ないね……。っつーか、今の顔、超こわ……」 さらにその隣では、マントとシルクハットをまとった胡散臭い男、神父にして怪盗のチャーリー・ウッドが神妙な顔でつぶやいた。 「当然の結末だよ、諸君。吸血鬼とプリーストの間に、愛など芽生えはしないさ……」 「いや、そもそも名乗りが長ぇよ。ナイトなんちゃら、言いにくいんだよなあ」 ――こうして、また一つの夜が終わりを告げた。 騒々しくも愉快な仲間たち、ホーリーレイダース。 今日もまた、夜を越えて進み続ける。

さかいきしお

コメント (17)

さかいきしお
2025年07月08日 07時27分
thi
2025年07月06日 13時27分
国道23号
2025年07月05日 18時38分
なおたそ
2025年06月29日 15時58分

さかいきしお

2025年06月30日 07時56分

みやび
2025年06月29日 14時17分

さかいきしお

2025年06月30日 07時56分

早渚 凪

彼の本名もまた永遠の闇に葬られてしまったようだ・・・

2025年06月29日 13時56分

さかいきしお

神:『かの者の真名(しんめい)グンド・ダンプ、なり』 リ:聞いてねーよ。神様、暇なんだな。一曲歌ってやるからとっとと寝ろ。

2025年06月30日 07時55分

五月雨

吸血鬼はファラリア神の眷属ではねぇですの?

2025年06月29日 13時33分

さかいきしお

建前では吸血鬼(アンデット)は不死の鎖にとらわれているからNGなんだとよ。本音は生身じゃね~バケモンが嫌いらしいんだが。なんせ自由な奴(神様)だしな

2025年06月30日 07時39分

ガボドゲ
2025年06月29日 11時47分

さかいきしお

2025年06月30日 07時35分

925

フォロワー

おすすめ