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女子高生は忍者に覚醒する………♡ (霧島 紅葉)
夕暮れの神社境内に、風を裂く紅の影が走る。 霧島紅葉は忍者の装束に身を包み、狐面を片耳にかけ、鋭い瞳で前方を見据えていた。 その手には光を吸い込むような黒いクナイ。頬をなぞる風は冷たいのに、彼女の表情は挑発的に微笑んでいる。 これはただのコスプレではない。 紅葉は「忍の魂とは何か」をテーマにしたイベントに、自分の全てを賭けて臨んでいた。 ステージは戦場、観客は敵。紅い髪が舞い、クナイの切っ先が光るたび、彼女の中の“もう一人の自分”が目を覚ます。 「――さあ、ここからは私の世界よ。」 その言葉とともに、一陣の熱風が吹き抜け、紅葉の忍びの物語が幕を開けた。
