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女子高生は〇〇に覚醒する………♡ (姉は“静寂の湯”に包まれる)
――夕暮れの山あい、橙色に染まる空の下。 霧島紗耶は、静かに湯に身を沈めた。 湯けむりの向こうには、雪化粧をまとった富士の姿。 遠くから聞こえる鳥の声と、風が運ぶ檜の香りが、心の奥まで優しく染みていく。 仕事の忙しさに追われる日々――。 けれど、こうして家族と過ごす時間だけは、何よりも贅沢だった。 「……やっぱり、来てよかった」 そう呟きながら、紗耶は頬にかかる髪を耳にかける。 その横顔には、柔らかな光と穏やかな笑みが浮かんでいた。 遠くの部屋から聞こえる紅葉の笑い声に、自然と目を細める。 ――あの子の笑顔を見られるなら、それだけで十分。 湯けむりと夕陽の中、 霧島紗耶の心はゆっくりとほどけていった。
